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第4回公判前整理手続後記者会見2

文字起こしの続き(最初の段落は昨日と同じ)。
なお、佐藤弁護士は雲取山からUSBメモリが発見された日を「5月12日」と言っている。
以下の江川氏記事などでは5月16日になっているが、今回は佐藤氏発言のままとした。

[佐藤弁護士の話]
それで「何故開示証拠をマスコミに流したのか?」と言われた。
「私の方では、マスコミにラストメッセージを配布することを目的としているわけではなく、弁護人の予定主張の趣旨を明らかにするために添付する必要があると考えた」と答えた。

それは何故かというとラストメッセージというのは世の中に全く知られていないわけで、裁判所も分からない。
このラストメッセージは様々な意味があるが、ラストメッセージは今年の1月1日の謹賀新年メールに暗号化されて添付された。(キーファイルはUSBメモリ内)
その作成が去年の大晦日、12月31日の11時半過ぎだということも証拠上分かっている。

ラストメッセージは5ページに渡るもので、かなりの長文。
私も感心したが一字一句間違いがない。
ただし、江川さんに指摘されたが安倍首相が安部になっている。後はもう一箇所あるがそれぐらいである。
よく書けた文章である。
これだけのものを書くだけでも大変なことと思うのだけれど、その他に謹賀新年メールは5問のクイズを付けている。

それで問題は12月31日に作成して1月1日の0時何分に送信しているのだけれども、12月31日夕方は被疑者は母親と家にいた。
紅白歌合戦を見ながら過ごしていたという一種のアリバイが有る。
そういうこととの関係で、まず非常に膨大なものだということ、被疑者には到底こういうものは書けないと私達は感じるけれども、更にこのメッセージには幾つかの注目すべき文言が有る。
書き出しに「■はじめに」とういうのがあって、 
「お疲れ様でした。 
 冬山はいかがでしたか? 
 私は紅葉のはじめの頃に行ったので快適でしたが、雪が積もった山は大変だったと思います。 」
という書き出しがあって、これは謹賀新年メールを解いて警察が雲取山の山頂に行ったとすると、そこで発見されるUSBメモリに暗号化されたラストメッセージを解くキーが埋め込まれている。それによって解いてくださいと犯人はメールを送ってきた。
そういう形で解かれた時にこれを読むという前提で書かれた。

しかし、事実は1月1日には発見できなくてそのことが報じられた。
犯人は1月5日に送った延長戦メールで、発見できなかったのは山頂が風化して風で飛ばされたのかも知れないということで、オオカミ少年のように思われるのも嫌なので今度は江の島の猫に付けましたということで、そちらの方に誘導して実際に江の島の方で発見されたという流れである。

もう一つ非常に重要な事で、雲取山の山頂を指示した写真は実はヤマレコから取っていた。
それに「このへん」という書き込みをしたものだった。
1月1日の謹賀新年メールを解読した人達が、ネットから取ったものだということをその時点でWeb上に書いていた。
それについて犯人は「そう云われているが実は本物だ」ということをわざわざ書いて延長戦メールを送った。

犯人がもし本当に雲取山に埋めたとすると、猫の場合と訳が違って、自分がどこに埋めたかを記録しておくために必ず写真を撮っておかなければいけないだろうし、第三者に「ここですよ」と示しているわけだから自分で撮っておかなければいけない。
間違いなく犯人は登った時に必ず撮ったと私は思っている。
問題はなぜネット上の写真を付けて送りつけてきたのか。
見破られた時に「とうとうバレちゃいましたか」と言わないで、自分で「本物です」と何故書いたのか?

実際問題として、もしかしたら犯人はネット上の写真を使って警察を冬山に登らせて楽しんだ後、
予定通り猫の首につけたのではないかと思われていたのだけれど、
問題は5月12日までの被疑者が逮捕されている間に警察が登ってみたら実際にUSBメモリが発見された、
発見されただけじゃなくその中に江の島のSDカードにあったソースコードがあったファイルとと全く同じものがあった。

5月12日に発見されたUSBメモリは間違いなく犯人が埋めたものである。
検察官は当然そのUSBメモリは被疑者が埋めたものと主張している。
その時期は証拠上は12月1日しかない。
ところがいつ埋めたのかが書いてなかった。
それで今回「12月1日頃」と言った。

ラストメッセージの話をしなければいけない。
冒頭に今のような問題に関連してその時期が「紅葉のはじめの頃に行った。快適な時期だった」と書かれている。
それだけでなくて、ラストメッセージは昨年の誤認逮捕についても言及しているが、注目すべきは「犯行に当たって犯人性を高める工作を入れました」と書いてある。
もう一つ意味深なことで、警察に対して「犯人候補者の中からあてずっぽうに選んでお得意の自白強要をしますか。真犯人を追求したつもりが新犯人を作ることにならないといいですね」と書いてある。

そうすると犯人は他人のパソコンを遠隔操作できる人で、その中も覗ける人だった。
それでラストメッセージが意味するところは何かというと、捜査側に新たな挑戦をしているんだけども、「その捜査の結果が新しい犯人を作ることにならないといいですね」と書いていた。

そうすると私達は被疑者も遠隔操作されていたのではないか。「犯人性を高める工夫をしている」と犯人は言っているわけだから、そういうような観点で本件の捜査をする必要があったのではないか。
その点について、ラストメッセージは暗号を解くことによってしか見ることが出来ないので、延長戦メール、謹賀新年メールそれからクイズは全部皆さんが解いて公表されているのだけども、ラストメッセージだけは公表されてなかった。

それで私の方は必要性があると考えて付けたが、検察官としては目的外使用に当たる可能性があるということで、「何でこんなことしたんだ?」と言われている。
その点については、私達は「公判前整理手続でやるような問題ではないので、これ以上お答えしません。もし何か問題にされるなら改めて<聞き取れない二文字ぐらいあり.>して下さい」。

「私達としてはマスコミに漏らすためにこういうことをやった訳ではなくて、あくまでも本件の主張を明らかにするために証拠を引用せざるを得なかった」と言ったが、
裁判所も「だからと云って証拠をそのままやるのはちょっと問題じゃないですか」とか、
「裁判所も証拠そのものを見てしまったことになるので、記録上、公判前整理手続は証拠そのものを見ないで進めることに一応手続き上なっているので、ちょっとだけ気にした」ということを今日は言っていた。
それに対して、「それは8月5日にとっくに出しているのだから、もしそんなことが問題になるのならもっと前に言って貰ったほうがいいんじゃないですか」というようなことを言った。
何れにしてもこのラストメッセージを巡って目的外使用に当たるという問題提起がなされたので、
「今後はより慎重に行動しないとまずい」。(ニコニコしながら言っていた)

以上、約18分頃迄
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[考察]
・佐藤弁護士は最後の言葉を笑顔で言っていて、やはり相当の狸である(笑)
 今後もそれを発揮して国民のために色々公開していただきたいと思う。
・佐藤氏は雲取山の写真を犯人はネットから取ったと言っていて、それは正しい。
 しかし、犯人からの写真は2枚あり、USBメモリが写った方は本物と見られることを先日当ブログでも考察した。
 (埋める前に少し掘った状態が見える。また検察なども2枚目は本物と見ていると思う)
  佐藤氏は2枚を混同しているのか、或いは狸ぶりをここでも発揮しているのかは分からない。
 なお、1枚目の「このへん」と手書きしている写真について、佐藤氏は何故ネット上からの写真を送ってきたのか?と疑問を呈していたが、
 三角点に日が当たった影が正に「日時計」のように見えて、時刻や季節の特定につながることを避けたと考えて良いのではないか。その目的で、ネット上に沢山ある三角点写真から取って使ったこと自体は不思議ではないと思われる。
開示証拠の目的外使用について、被告には罰則があるが、弁護人には罰則がない(営利の場合除く)という刑事訴訟法の規定になっている。
 それで弁護人には懲戒請求という手段を検察側は繰り出してきたものと思われる。
 つまり、弁護人には法律上の罰則がないから、弁護士会への懲戒請求という手段を検察として考えたものと思われる。ただし、懲戒請求が認められる割合は非常に小さいようで、これでは佐藤弁護士もあまり怖くはないから余裕の笑顔だったのであろう。
 (Wikiによると、単位弁護士会懲戒請求の申立を受けて弁護士を懲戒する割合は、申立件数の2.3パーセント(平均)とのこと)

 なお、佐藤弁護士もホットな話題と言っていたが、目的外使用で話題になっている事例を挙げる。
 ①弁護人が懲戒請求されている事例
  ”取り調べ映像をNHKに提供 地検、弁護士を懲戒請求
  <証拠開示した取り調べの録画映像をNHKに提供したのは証拠品の目的外使用にあたるとして、提供した男性弁護士を大阪地検大阪弁護士会懲戒請求したことが分かった。
  <刑事訴訟法 第281条の5 ・・・ 2 弁護人又は弁護人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。→前項は被告人の目的外使用禁止規定で、罰則は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、弁護士も営利目的だとこれと同じ罰則になる)>

 ②被告が」起訴された事例
  ”開示証拠の目的外使用と逮捕”
  <東京地検が平成25年3月7日,被告人が公判中の自己の刑事事件の記録(証拠の写し)をYouTubeに掲載したとして,刑事訴訟法281条の4違反で被告人を逮捕しました。>

以上