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再度「ウィルス作成罪と牽連犯」

佐藤弁護士が先日の記者会見で「ウィルス作成罪」の話を持ちだしておられたので、おやっと思っておられる方もいると思う。
当ブログで書いたように佐藤弁護士は、「検察側はウィルス作成罪は立件しないだろう」と述べていた。
又当方が牽連犯のことも書いた。
それで、今になって何故佐藤弁護士はウィルス作成罪の話を持ち出すのか?という点を推察してみる。

その前に関連して書いておこうと思う内容がある。
本事件は興味をもつ人が多いのか、未だ2chでスレが立っている。
今朝も見てみたら、当方はまだそのスレに何も書いてなかったのに、
アンカーも付けず当ブログに関すると思われるレスをしてる人がいた。
レス内容は以下の通り。これについて書いておこうと思う。

 >またバカブログ主か 
 >お前供用罪の説明思いっきり間違ってたぞ 
 >供用罪で立件すれば作成罪で立件しないだの 
 >どっちも有罪の場合も有り得るっての 
 >牽連犯で重い罪だけで処罰されるだけで片方だけ起訴されるわけじゃない 
 >何も知らないんだな 

まず本題に入る前に一行目の乱暴な言葉。
こういう人はリアルでも他の人にこんな言葉使いをしているのだろうか。
或いはネットだけこうなるのだろうか。いずれにしろ止めたほうがいいと思う。

さて、牽連犯だが、この人は「訴訟経済」をいう概念をご存じないのかもしれない。参考に以下Q&A例がある。
 ”(例として)牽連犯関係にある住居侵入窃盗の事案において、立証の手間等から住居侵入罪を起訴せずに
 窃盗罪のみを起訴することは認められています。実務ではこれを「呑む」と表現します。”

ただし、今回でも検察の考え方次第で両方起訴する方策もあるかも知れない。
だが、両方しなければならないというわけではなく、牽連犯として一つでも良い。
今回は、適用例が少なく、最長刑も長くて大きな争点となるであろうハイジャック防止法違反もある。
立証しても牽連犯、或いは他に併合になる罪状が多々あって一つ足しても科刑にほとんど影響して
こない作成罪まで抱え込むのが得策ではないことぐらい検察側も分かる。
佐藤弁護士もこのようなことで、「ウィルス作成罪はやってこないだろう」と読んでおられたと思う。

だから、検察側としたら、変な勘ぐり入れられないように、会見した次席が
「刑法の牽連犯で今回は供用により遠隔操作の踏み台にされて被害を受けた方々がおられるので供用罪の方で起訴した。
科刑上は作成罪も起訴した場合でも同一。作成の証明の方は供用罪や業務妨害罪等の立証の中で行うので公判上特に問題ない」
と言っておけばよかっただけ。
検察側の説明不足。実際にはウィルス作成証明は行うのに、検察の敗北などという記事まで出てしまったのは作戦ミス。
(先週派遣先同僚の証言など、作成の証明につながると思われる証拠も出して来ているのだから,「作成は証明する」と言えば良い)

さて、佐藤弁護士が変心?した理由であるが、本来の弁護士モードに突入したと思われる。
つまり、「どんな手段でも利用して被告のために無罪を勝ち取る」という弁護士の基本的行動パターンである。
今までは検察がなかなか証拠を出してこないので、実質的には待ち状態が長く続いたが、これからが本格的戦闘モードである。
被疑者のPCが覗かれていた可能性などもその一つ。また、ウィルス作成に関しても検察が適切に説明しなかったから、世間的に検察は作成を立証できないのではないかという印象を持たれたようなことまで使って、検察側主張を揺さぶっていく。
その他これから何でも材料にする。こういうことだと思う。

以上