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検察の肉声

今回の事件が裁判長からも「異例、異常」と指摘される事態になっているのは、第一義的には検察の対応が本来あり得ないものになっていることが要因である。
そこで、検察の対応を推察するために、検察の肉声に近い内容を検察の記者会見や意見書、確度が高いと思われる伝聞などから抜き出してみた。

まず、捜査終結にともなって行われた検察記者会見。(牽連罪の言及がないことは先日紹介済み、それ以外の未紹介内容・・・発言者は稲川次席検事)
"捜査終結。裁判に臨む検察の陣容は、まるで大疑獄事件?!”

「予断と偏見を持たずに証拠を見れば、誰でも片山さんが犯人と考えるはず。彼が犯人ではないとは考えられない。彼のPCが遠隔操作をされていたとも考えられない
→以前から、「被疑者のPCが遠隔操作されて、行動を知られていたのではないか」という推測もあったが、検察が調べてそういうことは無かったと断言したということで重要な情報であろう。 (「彼のPC」が派遣先PCか自宅PCか、或いは両方かはこの発言だけからは不明だが)
 なお、「予断と偏見を持たずに証拠を見れば」も意味深な前置き。本来は「誰が見ても」であるべきはずのもの。特に今回は誤認逮捕の連続を受けての捜査だったのだから、真意がよく分からない前置きなどいらない確実性が必須だった。

「録音録画については、現在検察庁の試行対象事件は決まっていて、この事件は対象ではない。ただし、法制度上は(録音録画は)可能
→次席検事自らが、「法制度上は可能」と言っているということは、検察の判断で取調を行わなかったということである。
  再々紹介している3月の上本検事の意見書の中で、取り調べが行われないことを被疑者の問題にしているが、検察側の都合であることを次席検事が認めたことになる
 上本検事の意見書:「被告人は、自宅パソコンや元勤務先パソコンの記録をほぼ完全に消去する手段を講じていた上、犯行当時所持していた携帯電話、本年1月3日に江ノ島の猫に首輪を付けた際に所持していたリュックサックな  どを売却し、本件犯行時に使用したと思われる道具関係をことごとく処分して罪証拠隠滅工作を図っていたのである。
  /このような状況の下、被告人は本件の捜査段階において、事実関係を完全に否認した上、弁解録取以外の取り調べを拒否し、留置場から出房しない態度に終始した。
 (なお、この意見書には捜査1課長も言及していない「本年1月3日に江ノ島の猫に首輪を付けた」との明記があることは昨日の記事で紹介済み)

続いて以下の資料。
”警察の暴走がますます続いている 遠隔操作ウィルス事件会見 ”
(検察の記者会見ではないが、取り調べで質問された際の担当検事の言葉を被疑者から聞いた佐藤弁護士が明らかにしている)
9:23頃~ 水庫(みずくら)検事
「君はC#を使えないと言ってるけれども、どうも会社の関係者からはそういう話になってるけども、君はこっそりC#を勉強してたんじゃないか?」

この発言(質問)のポイントは、まず「どうも会社の関係者からはそういう話になってるけども」の部分。これは検察の心証も、関係者証言により「被疑者はC#使えない」ということだった考えて良いだろう。
会見は3月7日のものだから、逮捕からほぼ1ヶ月、再逮捕も行われた後である。この時期に至っても検察は関係者証言や被疑者否認を覆すC#使える証拠を持っていなかった。
しかも、発言の最後の部分は普通なら”もしかして”を付けて、「もしかして君はこっそりC#を勉強してたんじゃないか?」というような、単なる可能性への言及レベルである。
こういうのは「いえ、やってません」と言われたら、「ではこれは何だ?」とC#で作られたプログラムや開発環境などの証拠を示して追求できない限り、「そうか」で終わってしまうやり取りである。
(実際の質問の後のやり取りは説明なかったが、被疑者否認でこのようなものであっただろう)
当時証拠を突きつけたという話は無く、先日の「証明予定事実記載書」(第二部)もC#使えた証拠などには言及なかったようで、今も有効な証拠は無いと推測される。当方は、早くから「検察は無罪と判っているのではないか」と考えてきたが、裏付けられた格好である。(前述の取り調べが行われない件も、検察側は取り調べてもこのような状態だから、検察側の思惑で取り調べをやろうとしないと推測している)

被疑者無罪の心証を持ちながら組織を挙げて有罪主張を続けることは、冤罪形成の中でも一番問題ではないだろうか。検察の方々は、そのような最悪の事態に陥っていないか、今からでも立ち止まって再考願いたいと思う。

以上

[追記]
上記会見9:00頃~で佐藤弁護士が以下のように語っておられるのも、被疑者及び佐藤弁護士の主張の根幹として興味深い。
C#を使えない。C#でプログラム書く開発環境もない。キーロガースクリーンショット、HTTP通信という機能を駆使するような能力も全くない。」
フリーソフト作成などもあるので、こっそり勉強したぐらいでは難しいのではないかということは当方も感じている。コピペ利用が多いとはいえ、そう簡単なものではないと思う。検証のためには、早くiesys.exeも証拠開示して貰いたいものであるが、ウィルスの一種ということで一般への公開は難しいかも知れない。
 (なお、被疑者は伝えられているようにインターネットオークションサイトのソフトをJavaで開発していたとすると、HTTP通信などは書き方を知ってても良さそうだが、業務内容詳細は伝えられていない)