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猪瀬氏は豊洲市場汚染問題に詳しい、全てを話して頂きたい

猪瀬直樹氏(2007年6月副知事→2012年12月都知事→2013年12月辞任)が、早期移転論でやけに飛ばしている感じがする。同氏の豊洲問題対応に関して時系列を追って考察してみた(現状からスタート)。

(1)現状の見解…昨日Twitter
築地を「単にワイルドで不潔な途上国並み」とdisっている。世界中で人気の繊細な和食を支える市場を見に来る観光客も多いことぐらい作家ならすぐわかるだろうに。個人的には「異常」とさえ感じる貶め方。
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特に「不潔」と言い切っている点。現に築地で商売をしておられる方々が沢山いて当面継続は確実なのに、市場の方々の日々の努力なども無視して、このような見方を公表する人が東京都のトップだった。
また世論調査も取り上げている。ラッダイト運動(打ち壊し)まで引き合いに出して「反対のための反対」と切り捨て。
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しかし、実際は以下のように「どちらとも言えない」が一番多いことや、専門家会議による「地下空間底面の対策工事追加」という大きな論点が的確に報道されていない状態での調査になっているが、猪瀬氏は表面的数字しか見ていないようだ。
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(2)過去の見解…「眼からウロコ」という猪瀬氏コラム
以下コラムは豊洲問題について詳しく書かれていて特にP5、6が汚染問題。
(リンク切れのためこちら… http://blog.livedoor.jp/aryasarasvati/archives/38917716.html )
リスクを限りなく最小化するために法令の基準をはるかに上回る対策を実施する予定だ。土壌汚染対策法は、50cm以上の盛土、3cm以上のアスファルト、10cm以上のコンクリートによって汚染土壌を封じ込めることを定めている。これに対して豊洲の移転予定地は、汚染物質がある区域については、現地盤面から2メートルの深さまで土壌を削除し入れ替え。その上に2.5メートルの盛土。それを厚さ25〜40cmのコンクリート床や30〜40cmのアスファルト舗装で覆う。

副知事就任が同年6月。上記コラム前後の専門家会議開催は以下日付。記事内容の基となったのは8月の第3回と思われ議事録抜粋も示す。
■第3回2007年8月25日(議事録公表9月7日)・第4回10月6日(議事録公表10月19日)・(コラム)・第5回11月5日・第6回2008年5月19日

第3回専門家会議議事録P4~<現地盤面から2メートルこの土壌を掘削して入れかえます。さらに2.5メートルの盛土をする。建物を建てるところは、2.5メートルの盛土をしたところに建物を建てまして、堅固なコンクリート床で被覆する。トータルにこのような対策をしていくということをまとめてあります。
対策後の状況ということで、A.P.2メートルより深い位置については、10倍以下の物質が残留しますけれども、A.P.2から6.5の範囲は、すべての処理対象物が処理基準以下となるということをあらわしております。>

猪瀬氏はこの内容を元にコラムを書いたと考えられる。よって「盛土」などの仕様だけでなく、「2m以深は10倍以下残留有り」も知っていたと想定される。また、それまでの汚染調査結果も掲載されている。
東京ガス調査(1999年)ベンゼンは環境基準をわずかに超える0.011mmg
②東京都調査(2007年)…地下水から基準を1000倍以上上回る10mmgのベンゼン

更に同コラムの最後では次のように書かれていて追加の詳細調査予定についても言及。
<4000箇所の調査を10カ月間かけて行う。調査を徹底してやれば、客観的なデータがそろう。このデータを公開し、データをもとに、何が最もよいのかを議論をしなければならない。自ずから結論は出るはずだ。>

(3)続きのブログ記事
翌年2008年には汚染問題でなく物流関係だが、続きのブログも書いている。
誤報の伝言ゲーム”2008年4月1日
<「眼からウロコ」の第12回で築地市場がいまのままではジリ貧になってしまう、とデータを示しながら述べた。・・・>

土壌汚染問題記述でなくとも引き続き豊洲問題に関心を持っていたことは確実で、翌5月の第6回専門家会議で公表された注目データも当然認識。
③東京都詳細調査(2007年~2008年)…ベンゼン4万3千倍などの高濃度汚染

(4)猪瀬氏の責任
上記の流れから分かることは、猪瀬氏は市場担当の副知事ではなかったが、豊洲移転に係る問題に関心を持ち、土壌汚染対策も数字まで含めた詳細情報を得ていた。更に2012年12月から1年間とはいえ最高責任者の知事の立場にあった。

しかし同氏が今言っているのは「2013年に杭が発見され汚染の原因だということで対策工事を1年延期した(④とする)」というのが殆ど全てではないか。(後は主に遺恨有りの「ドン」の話)

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副知事・知事として他の事案も忙しかったことは間違いないが、小池氏以前の歴代知事で一番汚染問題に詳しいと思われ(小池氏より詳しいかも)、少なくとも知っている経緯を全部話して頂きたい。百条委員会に招致すべき。猪瀬氏在任当時の技術責任者であるM部長なども同時に必要。

(5)普段の主張との対比
思い浮かぶのは猪瀬氏がよく人に薦める自著である昭和16年夏の敗戦」。内容は概要をご存じの方も多いと思うし、以下表紙でも大体お分かりいただけると思うが、戦争を始める前に敗戦が分かっていたのに止められなかったという話。
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上記経緯を見ると、猪瀬氏は汚染対策が①→②→③→④と、どんどん問題が拡大して出てくる状況をよく知っていた。それなのに「結局高濃度汚染が取り切れない」という大失敗に終わった現在の結果が見通せなかった。これはまさしく「猪瀬氏の敗戦」ではないか。

そのことを知事短期退任を隠れ蓑にして、ごく一部、特に問題ないところだけが自らの責任として話して長い副知事時代まで含めて煙に巻く。しかし,副知事就任後間もなく汚染問題を理解したぐらい頭の良い猪瀬氏だから、実は自分がキーマン、或いは重要なキーマンの一人であったことも認識しているだろう。

豊洲へ早く移転させて、そのことが浮上しないようにしたい」、このような思惑が意識的か無意識かは別として、猪瀬氏の中にあるのではないか。もちろん当方の推測(憶測)だが、上記のような事情を総合すると「当たらずとも遠からず」と感じている。もし違うとおっしゃるなら前述のように知りうる全てを迅速に公表して頂きたい。

これからどう展開するかにもよるが、豊洲問題は新国立に引き続き、識者と言われる方々の実態を暴いて見せてくれる壮大な社会実験の場のようにも思える。

以上