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「盛土無し」設計になった決定的タイミング

東京都の検証報告書では「2011年8月18日の部課長会で建物下に盛土しないことが、土木、建築の部署の区別なく認識された」ということで重視している。しかし、設計においては、もっと早い段階(同年4月20日技術打合)で事実上決まっていたのでご紹介。その前の経過から説明するが、(3)が決定的タイミングの説明。
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(1)環境影響評価書案(2010年11月)・N建技術提案書(2011年1月)
下図のまとめのように、両書とも「建物下は基礎部分を除く分は盛土有り」の構想だった想定される。ただし、専門家会議・技術会議には再検討依頼などはしていないと思われるが、正式決定した際に依頼する意図だったというようなことは考えられるのではないか。
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これについて当ブログの推測(憶測?)としては、都側が同評価書案をまとめるに当って、事前に(多分落札前提で)N建と事前打合せした内容を双方が記載したのではないか。入札案件でも設計が絡むものは事前調整がよく行われる。当方も民間案件ではあるが経験していて、逆に無い方が不思議なぐらいw 両書の符合を見ると合意ができていた可能性は考えられるように思う。

検討事項の一番最初が「モニタリング空間」についての項目になっている。
 ”課題①構造計画「モニタリング空間」について”
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市場機能には無関係の事項がトップ項目ということで個人的にも違和感を感じるし、前項の両書記述にも反すると思われる。それが第一番目に出てきたことが「盛土無し」の具体的発端と考えられ、誰が指示したか都側はもっと調査すべき。また、部署名が「施設整備課」となっている。しかし、モニタリング空間の必要性を提起したのは土壌汚染対策担当部署なのは間違いなく、建築担当の施設整備課との意思疎通に問題があった可能性は考えられそう。

なお、同検討事項には参考用に各棟の仮図面も入っている。下図抜粋で拡大してみたが、高床1mになっていると思われる。更に地下深さが1m程度有り、計2m程度の高さの配管スペースが想定されていたと思われる記載になっている。
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(3)基本設計打合せ会議(2011年4月20日)…決定的タイミング
前項の検討事項で「ミニ重機作業用空間を含むモニタリング空間設置」が要望されたことを受けて、N建が「根切り深さはAP+2.5m程度になりそうです、問題ないでしょうか?」と都側に了解を求め、「問題ない」との回答を得ている。AP+2.5mは砕石層上端であり、この時点で盛土無しでの設計が確定したといえるだろう。
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上図にも書いたように、N建は「建物下も含めて敷地全体を盛土」する提言の図を元にしているから、しっかり見ている。都側に「議会や関係者への説明に反することになる事態をどう考えるか?」を明確にしてもらうよう要請すべきだったと思う。

都側が「後で何らかの形でオーソライズする」というような考えを伝えたのかも知れないが、そうだったとしても単にそれを信じるだけでなく実際に行われるか継続的ウォッチが必要。大きな失敗にしないためには、そのような総合的な見方が必要だが、業界最大手で絶大な信頼が置かれているようであるN建でも出来ていなかったことは残念。

以上