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専門家会議の安全論議

橋下徹氏が平田座長発言を基に次のようにツィートしておられる。
豊洲問題)専門家会議の安全基準論議を徹底して公開検証すべき。今回の専門家会議は「地下水は飲まないので地上部に直ちに影響しない。地下水は処理後下水基準を満たして排水ができている。市場建物内は環境基準を満たしている。土壌が飛散することはなく人体に影響しない」これ安全じゃないの?>2017年1月17日 

おときた都議のブログも同会議の安全論議を記載。
14日に開かれた専門家会議でも繰り返し述べられている通り、土壌汚染対策法上の安全対策は適切になされており、市場が実際に運営される地上部分の「安全」はほぼ確実に確保されています。>2017年1月16日 

しかし、両者見解とも専門家会議は「換気追加」の提言を準備していることが確実なことは書いていない。肝心な前提を記さないのでは、恣意的な印象操作と取られても仕方がないレベル。

そして色々反論出来てしまうが、一つ大きなポイントを挙げる。橋下氏ツィートは、<専門家会議の安全基準論議徹底して公開検証すべき>としている。是非実施すべきで、その際には前述の「換気追加」も大きな要素になる。

換気必須となれば、これまでも当ブログで言及してきたように、佐藤尚巳氏の「現状空間は英知」という発言の論理が崩れる。英知とまで評価されるものなら、すぐに改造が必要なはずもない。また英知発言は「盛土無しが正解」という見解なのだから、真逆である東京都見解との正式検証が必須。

ただし、現状の「改良」・「改善」だからOKという見方を出してくるかも知れないが、「なぜ最初からやらなかったか」という話が出てくる。結果的に、「盛土無し」の問題を公開検証することになる

小池氏が盛土問題を都側の内部調査に任せた意味は、都庁内部の自律意識を喚起するという建前もあったと思うが、実際は第三者委員会等での検証になると、ネット中継や傍聴者質問も有りの論議となる。ボロがどんどん出てくるから避けた面はあると思う。

橋下氏の言うように公開検証していくと、それが今から出来ることになる。是非やって頂きたい。ただし、都側の失敗が次々に明らかになる。それで「移転推進」に世論が傾きますか、橋下さん? 都議選で小池氏の論理に勝てますか?

結局少なくとも「早期移転」に関しては詰んでいる状態なのを未だに読めていない。また、本来専門の法律面でも、都側の失敗が明らかになったところへ訴訟を起こされたら厳しくなるのは当然。それが分かるから、農水省も容易には認可できない。

やはり橋下氏は、行政の長としても政治家としても法律家としても資質を疑わざるを得ない。逆に言うと、それであそこまでやれたのは立派とも思う。基盤を大阪に置いたことが、同氏の特質と上手く合ったということだろうか。

今からやるべきことは、移転賛成派と反対派の話し合いを始めることが重要と思う。特に「築地再整備」について、「豊洲移転は困難」という仮定の前提を置いて、再度論議する必要あり。過去に再整備困難の結論が出ていても、移転できなかったら築地で続けるしか無い。背に腹は変えられないという現状で何か方策がないか考えてみる。それでもダメなら、やむを得ず豊洲を使用するか。

とにかく、状況が変わったのだから、一から見直してみるしか無い。橋下氏の様に発信力の有る人物、また都議として当事者の一員のおときた氏も、なぜ賛成・反対両派に話し合いを薦めないのか。早く始めないと、都議選で検証不足の争点が出て来ることになれば都民のためにならない。実務者視点が必要と思うが、このまま自己アピールや政局が優先されていくのだろうか。

以上
[追記]
1月12日記事”「一般管理区域」と平田座長の不可解なスタンス”などで、平田氏に関する懸念を書いたが、その事情も分かってきた気がする。

まず、本文の橋下氏ツィートのように平田氏は「安全論議」に踏み込んだ感がある。これは「移転前提の検討ではない」と繰り返し述べてきた方針とは、やや違和感があると言わざるを得ない。

そして、同氏と中島氏が「姫路市中央卸売市場移転に関する専門家会議」に参加していることも紹介した。考えてみると当たり前の話であるが、専門家として「市場移転を止める」方向の提言を出せば、次に移転を考えているところからは呼ばれにくくなる。

つまり、姫路の件への参画も以前の豊洲専門家会議で移転の方向性をまとめたという実績が重要になる。仮に2008年の環境基準43,000倍のベンゼン検出時に、「移転見直し」提言でも出していたら、呼ばれる可能性はぐっと減っていただろう。今回の平田氏発言も、「やはりそうなるか」と思えてくる。同氏の「人間力」の評価だけではなくなってくる。

これは非常に難しい問題。専門家でも、「それぞれの人のスタンスが違うのは止むを得ない」とするしか無いと思う。ただし、中立を掲げても、意識的か無意識かは別にして、行政寄りのスタンスになることは有り得るとの認識も必要。橋下氏のように、専門家だから依拠するという対応だけではないだろう。

また、今になって考えてみると、前述の「43,000倍の汚染物質」検出時に、「移転見直し」を検討してもらいたかったが、これは更に根源的課題になるため今はこの辺で。

追記以上