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検証報告検証8 「アーチタイ関連議論」

アーチタイについては、昨日記事の「とある***」氏が以下のようにツィートされており、「基礎梁」として言及されている。
ネットで出回ってる設計図見ると、アーチの両端に基礎杭を打てないから、代わりにアーチの両端を基礎梁で繋いで支えるようですね。
(森山氏のblogから引用)これ見ると、アーチ両端を梁で繋いでいるようにしか見えないのですが・・・・ 基礎杭ではないのは、それなりの理由があるのではないでしょうか?

同氏が「SKM***」氏と論議されているツィートもあった。キールアーチ論議のエッセンスが集約されているような内容になっていて興味深いので引用させていただく。
------ツィート抜粋引用開始(2015年6月6日分より)-----(①~③は当方付与)
<とある***@… 図面自体は森山作ではない以上、氏の個人的見解で片付けるのもどうかと。
ただ私も、昨今の人件費やら原材料費の高騰があるので、キールアーチに責任を押し付ける氏の論調にはやや疑問です。> 
<SKM***@… キールアーチだから建設困難というのじゃなくてザハ案改でも370メートルと長大で太いし、敷地が狭くて重機の活用がしにくくコストと納期が無理ということかと。森山氏の地下鉄にぶつかる云々は避けようがあるでしょう>
<とある***@…  建設費高騰の要因は、キールアーチに限らない複合的なものと考えるべきですね。>
------引用終了------

キールアーチ論議の出発点はやはり森山氏論考になるようで、両者から以下の否定的意見が出ている。
 ①建設費高騰の理由をキールアーチに押し付けるのは疑問
 ②地下鉄にぶつかる云々は避けようがある

まず①に関しては、後から追加されたアーチタイが費用を押し上げたと当方は考えている。アーチタイもキールアーチ構造に含まれると考えることが出来るので、キールアーチが大きなコストアップ要因になる。ただし、このところ見積り経過の検証を行った結果、設計JVが見積りを低く抑えたままにした「操作」の疑念が出てきた(JSCも絡んでいるかも知れないが)。検証報告で委員長が謎とした「ゼネコン算出工費との乖離」は、見積り操作による表面的数字合わせも大きく影響していた可能性がある。

②ではノエル氏も<ガチンコで杭と地下構造物がぶつかると確かにヤバいですが、たぶん大丈夫だと思います>と書いておられる。しかし、「SKM***」氏も含めて具体的な方法案は出しておられないようである。他ブロクでも「やり方は色々ある」と書いたまま、その方法を1年以上出しておられないという事例もある。これでは森山氏への反論にはならない。
当ブログの基本設計書内容を根拠とする「基本設計ではアンカー(基礎杭)はなかった」という見方も加味すれば、「基礎杭があった」という見解はもはや否定されるのではないか。なお、「基礎杭が打てたかどうか」の論議もあり得るが、「打てるけど打たなかった」のならば敢えて打たなかった理由が必要になる。納得性の有る説明は期待できそうにないと思う。

結果的に(2)は否定されるが、(1)は可能性がある。そして当方見解の「アーチタイ追加による費用アップと工期増大」は必然的に発生する。これらを考慮すると「とある***」氏が述べている次の観点が重要に思える。
 ③建設費高騰の要因は、キールアーチに限らない複合的なものと考えるべき

この複合性によって、本来は”「アーチタイ」を急遽追加しなければならなかった「欠陥設計」の問題により「建てられなかった」から着工できず[白紙化」された”という簡潔な流れが根底にあるにも係わらず、複雑になってしまっていると思われる。このため<コスト増はデザイン(キールアーチ)のせいではない>というような見解も、「合ってもいるし違ってもいる」と云う中間的なややこしい状態になる。

ただし複雑化しているとは云え、一つ一つ見ていけば整理されてくる。特に「基本設計終了というプロジェクトの要(かなめ)の段階において構造面のコンセプトが崩れていた」と云う点は分かりやすいと思う。「ザハ案でも良かったのではないか、ザハ案では何故いけなかったのか」とこれまで主張してこられた方々も、「途中重要段階でのコンセプト崩壊には口を閉ざしながら、反論ビデオや声明文でキールアーチコンセプトのメリットだけを主張するZHA」をそのまま信用することが困難なことは、もはや御認識されると思う。
中でも建築家の方々は専門家として「基本コンセプト崩壊があったことの重大性」を殆どの方が理解されるだろう(確信的な人は色々手を変え品を変え支持主張を出し続けるかも知れないが)。

その上で本問題に興味を持っておられる方々の中からは、大々的なZHAビデオ等を見て「アーチタイはどうなんだ?」と云う疑問がまだ出て来るのも当然なので、実施設計におけるアーチタイの状況を今後分析していく。

以上