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雲取山現状まとめ

昨日弁護団や片山氏の認識等の謎について考察してみたが、その中でもやはり片山氏の思考方法はどうもよく分からない。特に雲取山で埋めていないとしたら、何故それをもっと強力に無罪主張の根拠にして早く決着つけようとしなかったのかは大きな謎である。それからすると、また「本当に埋めていたのかもしれない」というような思いも湧いてくる。

しかし、ここで効いてくるのが物理的事実である。
如何に片山氏の考え方が分かりにくくても、とにかく穴が無ければUSBメモリは埋められない。この点で10:51写真に穴が写っているかどうかという、物理的事実による判定は決定的である。
以前にも行なったが、現時点でのまとめとして再度検察側対応想定の3つの場合を検証してみる。

(1)穴が写っている
→今までの考察で、以下の様なことが言える。
①穴が写っていれば本事件は昨年前半にはクロで確定していた
穴が写っている場合は撮影時刻に山頂にいた人のみUSBメモリを埋めることが出来た候補者になる。写真の時刻をまたいで山頂滞在していないと、「穴を掘る→(他の登山者が写真を撮る)→穴を埋める」という一連の流れを実行できないからである。(写真に写ってなくても該当時刻に滞在していれば当てはまるが、10:51時点の滞在者は6~7人程度と見られる)
片山氏は6~7人に絞られる可能性がある雲取山の実行候補者に入る上に、江ノ島では監視カメラ映像により空白の22分間に猫に接して、かつ犯人からの写真と同じ角度の写真を撮れたのは片山氏だけとの検察側主張がある。
捜査終結は6月末であるから、空白の22分間を示す首輪装着前後の猫写真もそれまでに入手している(実際はそれよりずっと前と想定される)。監視カメラ映像は1月から有る。
つまり、雲取山の写真と江ノ島の映像を併せれば、昨年前半には”片山氏が両方の実行時刻に現場にいた”ことが証明され、もはや言い逃れ不能な状況に追い込まれていただろう。PCやスマホが遠隔操作されていたと抗弁しても、単に行動予定を知るだけでなく”両方の現場で片山氏と同時間帯にいなければならない”というリアルの制約があるから、真犯人の実行は困難と推定できる。
それでも、仮に弁護側が「真犯人が片山氏を尾行して同じ場所にいた可能性」を主張したとしても、現場が2つでは非常に厳しくなり、しかも雲取山は行くだけでも大変。裁判官に「犯人の可能性があるのは片山氏しかいない」という心証を与えるには充分な証明になったのではないか。
また、そもそも弁護側の無罪主張は「土の凍結などで片山氏は12月1日に埋められなかった」というのが大きな論拠になっていた。それに対して、会見で佐藤氏が述べたように、穴が写っていたら片山氏と犯人からのメールが結びつく決定的要因になる。論拠が崩された弁護団は、その時点で江ノ島や多くのデジタル証拠も相まって投了していたと思われる。
しかし、検察側は昨年前半やそれ以降もこの決定的論点を主張しておらず、今になって「穴が写っていた」と言い出したらどうなるか。片山氏の自滅による真犯人メールまで、年をまたいで約1年にも渡る時間と労力を多くの関係者を巻き込んで空費したことになる。「穴が写っていた」と言うことは、その膨大なロスを認めることになって、本事件にまた一つ「大どんでん返し」が加わることになるが、果たしてそのような事態になるのだろうか。
雲取山捜索
10:51写真をヤマレコ投稿者から入手したのは2012年1月20日と判明しているので、穴が写っているなら何故5月ではなくもっと早く再捜索に行かなかったのか。
③片山氏の対応
穴が写っているということは片山氏が埋めた可能性が非常に高くなるが、実際に埋めたのならそれを正直に話せば良いだけなのに、埋めた位置や到着時に5分ぐらい人がいなかったなどの偽証をわざわざしているのは何故か。
④鑑定
写真上で穴がある位置を示して貰って、弁護団も鑑定できる機関等に依頼して裏付けがとれるかどうか確認することが出来るだろう。当方もやってみたい。
また、警察鑑識は片山氏自供前においては「埋められた跡」を探していたと考えられる(写真で片山氏は三角点から離れているので穴が開いているとは普通思わないだろう)。探すのが難しくなるはずの「跡」が見つからなくて、今になって穴が開いているのが見つかったと言うのだろうか。

(2)穴が写っていない
→これは非常に分かりやすい大どんでん返しになる。
⑤片山氏は埋めていないことになる
もし穴が写っていない状態からUSBメモリを埋めようとすると、10:51以降に穴を掘って埋める必要が出てくる。しかし、写真には人が多く写り、バラバラに見える登山客がすぐに全員いなくなるとは到底思えず、「人がいない時に埋めた」という証言に反してくる。またkokohore2の影と合わなくなってくる可能性もあるし、天候も曇の時間帯が多くなる。更に10:55には三角点の写真もある。10:51以降の埋設可能性は否定されるのではないか。そして10:51時点では穴がないのだから、片山氏は埋めていないことが確実になる。
⑥片山氏証言との矛盾
穴が写っていなければ、「kokohor2写真は10:45頃撮って、人が来たので穴はそのままにした」という趣旨の証言と全く矛盾するので、片山氏証言は埋めた位置以外の偽証も有ることが明確になる。結果的に他の証言も見直し必須となってくる。

(3)穴が写っているかどうか不明、或いは明らかにしない
→以下の様な問題点が出てくる。
⑦鑑識への依頼
江ノ島の写真は画角などの詳細分析を行なっている。当然10:51写真も鑑識に依頼している。それで「不明」では済まされないのではないか。
⑧鑑識能力
鑑識に依頼した上で「不明」と検察側が正式に言うなら、警視庁の鑑識能力はそういうレベルなのかということになる。しかも、「埋めた跡」ではなく「掘ったばかりの穴」が隠されずに開いているのである。鑑識部門が怒るのではないか(笑)
また、それでも不明という結論なら、弁護側で鑑定機関等を探して依頼することが出来るだろう。それで鑑定可能となったら、警視庁鑑識の面目が潰れかねない。
更に、切り札として警察が収集した登山者の供述や写真を全部開示請求すれば、その中に穴のあるはずの時間帯の南東側面下の地面が写っていて判定ができる可能性も充分あるだろう。
⑨明らかにしない場合
朝日新聞のようにならないためにも、写っている・写っていない、いずれであっても早めに真実を明らかにすべきと思う。
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以上のように、検察側の正式見解さえ出てくれば、話は非常にスッキリしてくる。「不明」の場合でも上記のように他機関での鑑識や登山者調書・写真の開示請求などで解明の取組みが出来るだろうし、弁護側の働きかけで裁判官から検察側に明確な見解を示すよう求めてもらうことも期待したい。

それと、当方は今や片山氏の有罪無罪ということだけでなく、司法の場で「真実」がどう扱われるか?という点を注視している。今回は非常に貴重なケーススタディになるだろう。
また、片山氏の更生のためにも真実を明らかにして、もはや「嘘」はつかないというしっかりした反省が必要。この点では、位置の偽証はまだあっさり嘘をつく性質が残っているということで重要視すべきだが、今のところ「弁護士さんのための善意の嘘(?)」というようなことであっさり流されているようなのは実は大きな問題。

最終的に、これだけの世間の注目を集めた事件で、「真実」が隠蔽されたまま判決を迎えるのかどうか。
しかも、上記のように「穴が有るか無いか」という物理的状態で決着が付く、非常に分かりやすい真実である。そして簡単だからこそ当方は繰り返し書いて、「これだけ簡単な事を明らかにせず進めるのですか?」という問題提起を行なっている。司法に届くかどうかは分からないが、まずは皆さんも見ておられるということは重要になる。
さて次回公判でどのようになるだろうか。

以上
[追記]
検察側の対応として上記以外に考えられるのが、「正式回答を求められているとは思っていない」という反応である。これはあり得ると思うが、佐藤氏は会見で次のように述べている。
<今日私がちょっと補充的に聞きましたように、あの写真に本人が掘った穴が写真上写ってたとすると、・・・>
公判で聞いたということで検察側にも当然写真の話は伝わっている。また公判前に検察側にこの件で事前説明に行ったということで、その時にも「弁護側が見ると写真に穴が写っていない」という話を出しているのは間違いないだろう。
それで検察側が「写ってるかどうか」を再確認してないようだったら、怠慢というしかない(実際は昨年段階で既に確認済みの可能性も高いだろう)。
また、佐藤氏が公判で検察側に正式見解提示を求めていれば一番手っ取り早いが、あいにく第16回はいつもの江川氏傍聴メモが出てきていないので、やりとりが全くわからないのが残念。(公判から2週間以上経つのでメモは今後も出ない可能性が高そうになってきた。江川氏は初公判から真犯人メールによる混乱期の数回を除き、コンスタントにメモを掲載して頂いていたので今回は出ないのも謎である。また、9/20コメントで「・・・常に積極的に質問されるはずの江川さんの声が今回はないので・・・」と書かれていたぺんてるさんの慧眼に改めて驚く)

なお、本文考察は偽証が判明した穴の位置以外の片山氏証言をベースにしているが、「穴は開いたままにした」という証言なども虚偽とすると、片山氏は本当に埋めた方法について新たな証言も出来るのかも知れない。例えば「10:51写真の前に既にUSBメモリを埋め終わって、入念にならしたので写真では見えないのだろう」という説明などである。
しかし、その場合は「穴は開いたままにした」という証言だけでなく、「雪の粒が写ったので、自らの『このへん』相当写真は使わずヤマレコの10月写真を使った」などの重要証言とも全く矛盾してくる。
結局「何故この期に及んでそのような偽証をするのか?」という理由解明が必須になるし、どこまでが偽証なのかという話になって、証言の信憑性について全体的に見直しが必要になるから、この場合も影響は大きい。

追記以上