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捜査の課題点

本事件で起きた誤認逮捕について、当ブログでこれまで検討してきた結果、本来は誤認逮捕に至らずとも捜査できたのではないかと思える事項が色々出てきているので、下表にまとめてみた。
イメージ 1

課題について説明を加えると次のようになる。
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(1)横浜CSRF
CSRFという手法自体がサイバー犯罪においてよく知られており、捜査の最初期段階で可能性を検討するのが当然の手口であった。そして、CSRFを見破る一番の基本であるRefererが片山氏の方で対策されておらず、正常ルートでアクセスされたのでは無いことが一目瞭然だった(つまりCSRFの可能性が分かる状態)。
しかし、神奈川県警の担当サイバー捜査官は、サイバー捜査の常識といえるCSRFRefererの知見がなく、CSRFであることが発見できなかった。本来は逮捕が必要でないか、逮捕してもすぐ釈放されるはずだったものが、長期勾留されて実質有罪扱いの保護観察処分まで至ってしまった。
(神奈川県警の報告書に経緯掲載)

(2)大阪市役所HPへの書込
書込に被害者の本名が使われている。珍しい名前で著名人でも有るためネット検索すればすぐ出てくる。
それなのに大阪府警は2012年7月30日(月)に大阪市役所担当者から犯行予告書込の連絡を受けて、8月1日(水)に被害者に接触した。被害者は当日東京に行っており現地で任意聴取を受けてノートPCを任意提出した。
通報を受けた7月30日に容疑者(実際は被害者)を特定して接触していれば、31日に大阪で聴取できただろう。例えば前項CSRF事件の神奈川県警は6月29日に通報受けて、同日中にIPアドレス使用者特定と任意聴取まで行っている。府警では、通報2日後の8月1日まで遅れたため、次項に記す内容に大きく影響した。
大阪府警の報告書に捜査経過記載あり)

(3)JALへの犯行予告
前項で記した8月1日の午後1時半頃書き込まれた。府警が7月30日に通報受けて7月31日、遅くとも8月1日午前までに被疑者聴取していれば、PC押収などでJALへの予告は起きなかったということになる。
(これに関しては、「任意聴取が迅速ならJAl予告は起きてなかった」という経緯どころか、府警報告書にも他の警察の報告書にもJALの件の記載自体が全くない。JAL犯行の担当警察さえ分からない。警視庁の可能性がありそうだが、警視庁の報告書は福岡犯行のみの記載である。この程度の捜査対応であるのにハイジャック防止法違反は本事件裁判における量刑面での一番の焦点となる。個人的には非常に違和感を感じる)

(4)三重の件
ID被りやソフトをダウンロードした直後からのPC負荷増大、それを発見してソフト停止など、PC動作に異常があったことを、被疑者(被害者)は三重県警の取り調べに対して真っ先に話しているのは確実。また、遠隔操作の可能性も説明したという報道もあった。
これらを真摯に聞いて任意聴取で捜査を進めるということは出来なかったのか。
三重県警の報告書には、被疑者が聴取で否認とは書かれているが、否認の根拠になる上記内容などは全く記載なし。これは大問題であると思う。また先日の公判でも江川氏メモでは三重の人から警察側の対応に関する話は無かったようである。しかし、詳細に説明したのに聞いてもらえなかったという不満は当然あったと思われる。過ぎたことだから言わなかったと云うだけなのか・・・)
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これらを総合して個人的見方としては、捜査上の課題が幾つも複合して事件が大きくなり、誤認逮捕も増えてしまったように思える。
本事件の経過を教訓にするためには、犯人自供という新たな状況を受けて昨年12月に出た各警察報告書の見直しも本来必須であるが、残念ながらスルーになってしまうと思われる。

以上