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6月9日会見(続き)

ビデオニュース会見映像の29分頃から佐藤氏が次のように述べている。
接見禁止になってないので、母親との間は面接は対応していないが、手紙のやり取りをしている。
母親としてはかなり前から病的なものを感じていて、鑑定を受けるべきと強く母親からも依頼を受けているので、(片山氏は)今はそういうこと(精神鑑定)について極めて前向きです。

これは非常に重要な話。
母親は、嘘をつく時の癖だけでなく、病的なところがあることが分かっていた。
当ブログで以前から書いてきたように、検察側は母親の聴取を行ったのだろうか。
聴取していれば、「息子さんの為にも知ってることをお話いただけませんか?」と聞けたと思う。

最終的に聴取したのかどうか?聴取していれば結果はどうだったのか?
これは片山氏と母親のためにもやるべきことだった。
もし聴取していなければ根本的な捜査上の大問題だろう。

逆に絶対やってはいけないことがあって、神奈川県警が「親子の縁切り状」への署名させようとしたことは人の道にもとるといっても過言ではないと思う。
しかも横浜CSRF事件で大学生の親に同じことをやって問題になったのに、またやるとは信じられない話。
本来ならこの2つの大問題だけでも、本事件の捜査・起訴や裁判に重大な疑義ありと言えるものと当方は思う。
だが、今の流れでは、このような大問題も無かったことになってしまいそうな状況である。

ただし、弁護側も大晦日のアリバイを母親から聞いて何らかの形でまとめる可能性を示唆していたことも事実。
その結果は未だ出てきてないから、多分行われなかったのではないか。
これも重大問題として指摘することは可能。

しかし、同じ「母親聴取をしなかった」という事実でも、検察側と弁護側では責任が遥かに違うと思う。
弁護側は被告に不利になることを無意識にでも感じ取ってやらなかったのではないかと推察しうる。
これは「弁護」という立場から、ある程度はやむを得ないと云えるのではないか。
つまり、偽証を求めたりしたら「弁護士職務基本規定」などに違反することになるが、被告人にとって不利な事項を取り上げないということは有りうると思われるし、検察・警察側も有利な証拠しか出さない対応を行ってきている。(そのため今回「シロにする捜査の徹底」が公約されたが、全く果たされていない)

更に検察側を考えてみると、元々クロの立証をしようとしているのだから、母親や本人の為にもなる母親聴取を行って、早く真相を解明し自供を得ることは当然考えるべきだった。これは職務怠慢とさえ言えると当方は思う。
よって、繰り返しになるが弁護側と検察側では責任の大きさが全く違う。

また、今回の事件で改めて感じたが、刑事事件における捜査権限・能力・人員・費用等あらゆる面において検察・警察側と弁護側で非対称性があり、その差は個人的感覚では10対1どころか100対1よりもっとあるのではないかとさえ思える。
法廷の中では左右に検察側と弁護側が対峙するということで同じようにも見えてしまうが、それぞれの力を全体的に考えた場合の実態は全く違う。

よって弁護側批判は当然あって良いと思うが、それが「表裏一体」という一対一的な見方で、検察側と弁護側がどっちもどっちということになってしまうと、遥かに重大な検察側問題点が見えにくくなることを危惧する。
刑事事件における非対称性問題について以前から言及してきたが、巨大な非対称性を常に考慮するというのが当方の基本スタンスであることを改めて述べておきたい。
また、ジャーナリストに多く見られるような反権力や権力チェックの一環として権力を持つ側である検察を批判的に見るというスタンスではなく、客観性を重視した上で、本事件への対応が問題ありすぎるという見解である。

なお、佐藤氏は上記発言に続けて次のように述べている。
実は今日(6月9日)週末かかって自分の生い立ちからずっと、或る程度のところまで、どういう苦しいことをしたのかということを書き出しましたと言って、まず最初に見せてくれました。
だから間違いなくそういう問題に取り組もうとしています。
当方の希望的観測も入れると、片山氏の心底からの反省は思ったより早くなるかも知れない。

以上