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雲取山証言問題点

江川氏の傍聴記事で明らかになった雲取山証言に問題ありすぎ。

(1)5月16日に再度行った理由
 ・<きっかけは、昨年5月上旬頃に、私が井上警部補に「そろそろもう一度山へ行きますか」と声をかけたところ、井上警部補が「行こう」と言ったこと。そのように声をかけたのは、逮捕後の2月か3月に、金子警視と喫煙室で雑談した際に、「誰かもう一度山に行かないと行けないな」という話を聞いていたから。ただ、この時は、担当している捜査で手が空かないのと、山はまだ同じように凍っているだろうから難しいのではないかと思った。>
  →言ってることをそのまま受け取ると、「発見できなかったことがずっと気になっていて、手が空いてから行った」と云うことで、誠実で仕事熱心にも思えてくる。
   しかし、同じ証人がその後で以下の発言をしている。
 ・<地面を掘ったのは村田警備補で、私はすぐ横で見ていた。出てくるかどうかは、五分五分と思っていた。> 
   →「五分五分と思っていた」がポイント。こういう所に本音が出る。
    つまり、元々半分は捜索失敗したと思っていたということ。
    それなのに5月半ば過ぎまで行かなかった。
    雪に関しては、今はヤマレコがあってすぐ投稿されるから、雪の状況は写真ですぐ見られる。
    例えば当ブログ昨年記事で紹介した2013年4月13日(土)14日(日)は登山道にも頂上にも雪は無い。
     ”雲取山USBメモリ発見経過”2013/10/7
    また雲取山荘管理人に雪が溶けて来たら連絡して貰えば良い。5月16日よりずっと早く、少なくとも1ヶ月以上も早く行けた。雪のせいにするのは言い訳にもならない。
    忙しさに関しては、「何のために忙しいのか?」という肝心な所が抜けている。
    真相を明らかにするためであり、そのために雲取山USBメモリはとりわけ大きな要素になることは明白。
    結局捜索ミスと捜査優先順位設定の誤りという非常に大きな問題をぼやかしている。
    弁護側はもっと突っ込んで良いと思う。

(2)捜索時間
 ・< 山頂についたのは、午後2時30分頃。山荘管理人のAさんと合流した。>
  < 3時10分までで作業を終えたのは、ヘリの飛ぶ時間が差し迫っていたから。 >
  →山頂捜索時間40分。
   それで見つかればよいが、見つからなかったのだから捜索の仕方を再検討して次の日に再挑戦が当然
   見つからなかったことを本部に報告して、もしヘリが翌日使えなくても山登りの得意な人を選抜して早朝から出発させれば良い。
   3時10分に捜索終了なら、その時点で連絡すれば準備も出来る。現場写真もすぐ送れる。
   現場保持は山荘管理人やレンジャーに協力要請する。
   冬山とはいえ凄い山岳地帯の奥でもないのだから、警視庁がやる気になったら幾らでも手があるだろう。
   こういう当たり前のことをやってなかったから、実は五分五分なんてレベルではなくて、殆ど捜索ミスだったことを認識していたので、ずっと気にしていたと想定できるのではないか。
   (個人的にはまず間違いなくそうだと思う)

(3)台座支柱
 ・<1月には台座の下の支柱は見えなかったが、5月の時点では、風で土が削られたのか、見える状況になっていた。>
  →1月どころか、前年12月の写真でも支柱が見えていて、以下の当ブログで12月9日写真紹介。
   ”検察の図”2013/10/21
   余りに酷い事実誤認とヤマレコ確認もしていない怠慢ということになる。

(4)5月16日に掘った道具
 ・<山荘で借りた鋤簾(じょれん)という道具で台座の下を掘り始めた。>
  →やはり5月16日にツルハシが書かれた図は間違っていた。
   今回は正式図が出ているとのことだが、もともと証拠開示時は捜索から相当時間が経っていたのだから、手書きでしかも不正確な図を出すなど本来有り得ない話。
   (弁護側が示さなかっただけで、最初から正式図が出ていたなら、弁護側が説明必要)
    なお、弁護側が示した図(ポンチ絵)は昨年9月10日記者会見で、「これは目的外使用と言われるので配布しませんが」と言っているので、検察側からの証拠開示ということになる。
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問題点はざっと以上であるが、rec*lde**des*さんがコメントして頂いた記録も併せると、まだまだある。
それでも「指摘されたら訂正します」ぐらいで裁判が進んでいくのは、当方個人的には全く納得がいかない。(訂正もしないかもしれない)
特に裁判長から指摘も余り見られず甘すぎると思う。

以前から述べている取調問題・シロにする捜査問題など、様々な捜査上の大問題がある事件で、更にこのような問題が加わる。
常々思うのだが、日本人には「ペナルティ(懲罰)」という考え方が薄いのではないだろうか。
単に間違ったことへの罰だけでなく、もっと大きな懲罰的措置を課すアメリカ型の発想も必要ではないかと思う。
「直せば良い」だけだったら、又やってしまう。身のある再発防止や改善には大きなペナルティも必要。
今回はそれが「公訴棄却」だと当方は思うのだが、余り賛同はないようだし、弁護側もその方向ではない。

弁護側は裁判が進んで時期的にもうこの対応は取れないかもしれないが、最初の頃に公訴棄却を求めた大きな理由であった「事件の核心である遠隔操作の場所やPCの特定が曖昧」と云う点は今になっても全く変わっていない。
つまり、今でも「公訴棄却」を求めるべき状態で、更に上記のような色々な捜査上の問題が重なってきているのだが、再考はないのだろうか。

今のままで進んで判決まで行くと、判決がシロクロどちらになるかは別にしても、警察・検察側は今回のような捜査や訴追方法でも裁判はやってもらえるという前例を作ることになる。
被告人の利益と人権、そして日本の司法の今後を考えて、許されることなのだろうか。
単に本事件だけでなく、日本の刑事司法全体から考える視点と対応もあって良いと思う。

以上