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開発成果物と心理状態

ソフト開発においては、出来上がったソフトを「成果物」と呼ぶことが多い(他業種でも同様に呼ぶ場合は或るだろうが)。
今回犯人が作成したCSRFもトロイも、犯人にとっては成果物となる。
(本日は本来業務の「それなりの成果物」の話ではなく、そちらの方は内容が明らかになったら別途取り上げたい)

当方はCSRFは約1週間、トロイは初回犯行用が1ヶ月弱程度で開発されたと想定しているのは以前から述べてきているが、犯人が相当な時間を掛け色々工夫もして開発したことは間違いない。
それでも、CSRFは一度しか使用していない。
トロイの方は、大阪・愛知・福岡・神奈川・三重の計5箇所PCに対する使用が判明しているので、多数回使ったということになるが、ここで考えるべきは昨日示したトロイ最初の大阪犯行である。

犯人はJAL予告に際して、警察接触を想定の上実行したと考えられる。
府警の任意捜査がもう数時間早ければ、JAL予告実行時間には被害者に任意聴取の連絡が伝わっていたか、もっと進んで既に取調が始まっていた。
警察に呼び出されたらPCは押収され、インターネット接続も切られた状態になり、suicaコマンドが送れないからiesysが消えないまま残るのである。
当然発見される可能性が出てくる。

犯人はヲタロードの後も7月31日にiesysをバージョンアップしているから、その時点までで1ヶ月程度の時間を掛けたと考えられるトロイを、ヲタロードで一回使っただけで後は発見されて使えなくなる危険を冒していた。
(7月31日バージョンアップの件は以前にもご紹介した以下のサイトに記載有り
 ”藤若 亜子 PC遠隔操作事件時系列”

CSRFに続き、成果物を惜しげも無く一回で捨てても良いつもりだったのか。
或いは、トロイはCSRFに比べると大幅に時間を掛けて手のこんだこともやっているから、初めから何回か使うつもりだったとすると、犯人はJALの後で危険性に気がついて、その後の犯行では遠隔操作終了後早めにsuicaコマンドを送って消すようにしたのか。
それであれば心理経過として理解できなくもないが、CSRF犯行による2日後(誤認)逮捕の報道から既に気がついても良いのに、犯人はここでも間抜けなところを晒していることになる。

結果的に当方がずっと気になっているのは、犯人の「慎重さ・賢さ」と「間が抜けて見える」ところの極端なギャップである。
犯人心理としては大きく以下の2つの場合が考えられるだろう。
  (1)犯人は基本的に非常に賢くて、撹乱目的等で敢えて間が抜けて見えることもやっている
  (2)犯人は実際に極端な二面性を持った性格である

失礼ながら、片山氏は(1)のような人物ではないと思う(そこまで切れる人物なら隠しても随所で見えてくる)。
そうするともし犯人なら、片山氏は表の面は合戦祭りの写真に象徴される呑気さ全開だが、内面では物凄く出来る人物で、「(2)に当てはまる可能性は有り得るのか?」というのが当方の大きな未解明点になっている。
(昨年来の2重人格の話につながる。但し現実的にはそのような人格の発現確率は低いのは承知)

ただし、片山氏の心理面では更に別の観点からも検討が必要と考えている。
これも以前から述べてきているが、”目の前の問題(業務遅延)で窮地に追い込まれている時に、今までやったこともないもっと難しい全く別の課題(CSRFやトロイ開発)に挑戦する”という発想が湧いて、実際に実行して達成してしまうことが、「人間の行動パターンとして有り得るか?」と云うことである。

片山氏が仕事の進捗について述べていることが、江川氏の2つの記事で紹介されている。
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”初公判で被告人冒頭陳述を聞く”
< しかし、乙社での人間関係は良好で、同僚の何人かとはプライベートでも遊ぶようになっていました。5 月の私の誕生日にはケーキを買ってきてくれたりもしました。 
そういった雰囲気の良さと、実際の仕事の進捗に問題があることのギャップに追い詰められて行き、7 月から心療内科を受診するようになりました。 >

”保釈直後の片山氏インタビュー”
< 「そうですね。仕事の進捗状況についての悩みはありましたけど、人間関係的な悩みはほぼなかったと言っていいですね」 >
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特に後の方の記事の発言は端的で、「人間関係の悩みは殆どなく、仕事の進捗が悩みだった」と言っている。
人間関係で問題があって何かしでかすことは日常茶飯事で起きているが、片山氏はそれは殆ど無くて仕事の進捗遅れが悩みだったというのである。しかも、原因となったスランプが嵩じて心療内科受診にまで至っている。
その状態で、更に仕事を遅らせる要因になることが確実なCSRFやトロイを開発しようという気になるだろうか?
当方にはそのような人物がいるとは到底理解できない話。

結局これだけ大きな心理的矛盾があって、しかも本人は可視化(録音化)されたなら幾らでも話す姿勢だから、心理分析や解析を行うべきと思う。
検察・警察側が片山氏を犯人と主張するなら、サイバー捜査があるのだから「心理捜査」もあってしかるべき。

裁判官も、もしこのままの公判の流れで有罪判決を出す場合は、心理分析どころか心理が垣間見られる取調もないまま、「開発の痕跡」や「猫写真撮影の可能性」などの検察側証拠を優先して弁護側の反証を無効とする自由心証に頼って、「被告人は稀有な両極端の二面性を持つ人物である」と認定することになる。
(犯行を頑強に否認して様々な反証を述べていることと、犯行を実行したこととの二面性認定も出てくる)
裁判官という役割は、そこまでの認定権限や能力を持つのだろうか、と考えてしまう。

以上