kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

逆アリバイ工作

予想よりビデオのアップが早くて、コメントで教えて頂いて見てみた。
今回は最初何か違和感があったが、佐藤氏が珍しく書類をずっと見ながら話していて、「弁護側主張のストーリーをまとめたのでそれを紹介する場」としているらしいことが理解できた。
正式書面として来週火曜日に出すそうだが、検察側も「反論は論告になってから行う」などと余り納得性が感じられない主張をしていないで、早く論議を始めるべきと思う。
そうでないと、起訴状一本主義などあって裁判官は証拠を公判前に原則見ないなどの制約があるとはいえ、これだけ長期に渡り多回数の整理手続や打ち合わせを行っていながら、肝心な反論は公判になってからというのでは税金の無駄使いとも言えるだろう。

佐藤氏の述べた内容は一部文字起こしも行ったので、又別途紹介したいと思うが、当方が現在一番注目しているアリバイの件は特に新事実というようなものはなかったと思う。
それでも以下のようにアリバイの件に触れている部分はあった。
<9つの脅迫メール事件の内、日曜日に起きた大阪のヲタロード事件を除き、それ以外は全部平日である。
この時間には被疑者は青山にある派遣先で勤務して、その派遣先で被疑者専用のPCの前に座っていた。
ところが検察官は起訴状で犯行場所を「東京都内又はその周辺」、犯行に用いたPCを「インターネットに接続したPC」と主張していて、南青山にいてそのPCを使って犯行を行ったと主張していない。>

よく知られている内容であるが、改めて検討してみる
上記佐藤氏発言は「日曜日に起きた大阪のヲタロード事件」を除いて、平日の犯行の方を主題にしている。
しかし、アリバイが成立しやすいのは日曜日の犯行の方ではないか。
派遣先だと殆どの時間PCの前に座っていたと想定できるが、日曜日で会社に行ってなくて、しかも外出していたりしたらインターネットに接続したPCに触れない時間帯が増えるからである。
例えば被疑者はバイクや車を持っているが、それらを運転中はネットアクセスは難しくなる。

日曜日の該当時間帯に何をしていたかは、接見で容易に聞ける話である。
だが、佐藤氏が前回の記者会見で「アリバイ検証を進める」と話してから約3週間経過して、まだ被疑者に「昨年7月29日(日)21時45分頃はどこにいたか」を確認してアリバイ検証することは進展していないのだろうか。
特別弁護人が選定されて、特にデジタルの履歴に関するアリバイ証明は、当然その人も入ってやることになるだろうから、まだ準備段階というところか。
少くとも公判よりも早く、1月の次回整理手続ぐらいには示して頂きたいと思う。(なお、日曜日以外に当方調査で、平日でも勤務終了後の可能性のある時間帯が有り、こられも含めて勤務時間外の分は優先確認すべきと思われる。例えば通勤途中などもアクセスが難しいと考えられるからである)

さて、アリバイに関しては当ブログで最近でも12月9日~11日記事「アリバイⅠ~Ⅲ」や12月20日記事「新派遣先でのアクセス」などで詳細検討を行なってきている。
その中で12月20日記事に関して、tsunさんから一昨日頂いた次のコメントが有る。
「別に真犯人がいると考える場合は、被疑者が10月10日午後新派遣先にいたとして、遠隔操作で被疑者PCからTorでアカウントアクセスしたのか?」の問題設定が理解できません。この場合、真犯人のPCからTorでアカウントアクセスしたとするのでいいのではないでしょうか。

これに関して当方は昨日返信コメントとして以下のように記させて頂いた。
<二つ目のコメントの問題設定の件は、非常に重要な考察につながりますので、後日再度書かさせていただきます。>

本日はこの「非常に重要な」(と当方が個人的に捉えている)考察内容を記す。
12月11日当ブログ記事で11月29日会見における佐藤氏のアリバイ立証方針を紹介した記述を再掲する。
<ジグソーパズルでいうと検察官は全部のパズルをぴったりハメなければいけない立証責任を負っている。
 我々は一点だけでも絶対に矛盾するというものを見つければそれで勝ちなわけですよ。
 そういう意味では膨大なもの(デジタルデータ)があるんですけども、全部を矛盾なく解析する必要は全然なくて、或るところに何かおかしいものが有りそうだと云ってやってみたら、被疑者が犯人ではありえないというようなものが見つかる可能性がある。
 どういうことかというと、被疑者は客観的にはその時期にいないのにPCだけが動いている場合は犯人の側から見たら分からない。
 つまりヴァーチャルの世界でしか犯人は動いていないから、その落差みたいな、完全にアリバイが成立するような時間帯に何かがあったら被疑者がやったのではないということを意味する。
 そういう観点から今我々は探そうとしている。それは必ず見つかるだろうと思っている。>

これを昨年10月10日(水)15:15のアクセスに当てはめてみて、tsunさんからのご質問について考察する。
つまり、該当時刻のアカウントアクセスがあった際に佐藤氏が云う「被疑者は客観的にはその時間帯に席にいないのにPCだけが動いている」状態であったとする。
例えば、会議があって、被疑者PCはデスクトップで電源入れたままにしてあったが、実際は会議室等に移動してPCに触れなかったというシチュエーションなどが考えられる。議事録もきっちり残っていたとする。
このような状態の時間帯におけるアカウントアクセスは、被疑者によるものではないということになり、アリバイ成立するというのが佐藤氏の目論見になるだろう。

逆に真犯人の側は被疑者を犯人に仕立て上げるためにはアリバイが成立することを阻止する必要がある。これをここでは「逆アリバイ工作」と呼ぶことにする。
佐藤氏が考えているようなアリバイ立証を出来なくするためには、真犯人は逆アリバイ工作として、被疑者がPCを操作できる状態にあることを常に確認してからアカウントアクセスする必要があることになる。
これは以下のどちらの場合でも同様となる。
 ・被疑者のPCを遠隔操作で乗っ取ってTorを使えるようにしてアクセスする場合
 ・真犯人が自分のPCでTorを使ってアクセスする場合

とにかく被疑者がPCに触れない時に、犯人しか出来ないアクセスの履歴が残っていたら、被疑者は犯人ではなくなり、真犯人の工作は破綻することになる。
佐藤氏も「一点だけでも絶対に矛盾するというものを見つければそれで勝ちなわけですよ」と言っているから、逆に犯人は一点でも被疑者がPCを操作できない状態の時のアクセスを残したら逆アリバイ工作に関しては負けとなってしまう。

それで、tsunさんの<「この場合、真犯人のPCからTorでアカウントアクセスしたとするのでいいのではないでしょうか?」>という問いに対しては、
”真犯人が別の場所からTorでアカウントアクセスしたとしても、アクセス履歴に関しては発信者隠蔽されて判別困難だからOK。
 ただし、被疑者がTorでアカウントアクセスしようと思えばできる状態であることを確認してからアクセスしないと、佐藤氏の言う状態に陥る可能性がある”という回答になってくる。
つまり、佐藤氏が設定したアリバイ成立の条件を満たさないように、犯人は全てのアクセス時に注意しなければならないわけで、それが1点でも漏れたらアリバイ成立の可能性が出て来て佐藤氏の思惑通りとなる。

当方の<「別に真犯人がいると考える場合は、被疑者が10月10日午後新派遣先にいたとして、遠隔操作で被疑者PCからTorでアカウントアクセスしたのか?」>という設問は、真犯人がいるなら当然逆アリバイ工作として被疑者状態の確認が必要という当方としての前提から出て来たものである。
それは、「Torアクセスを被疑者が行える状態であることを毎度確認する」のも、「被疑者PCを乗っ取ってTorも出来るようにして遠隔操作でアクセスする」ことも、両方共非常に困難な仮定になるので、被疑者がポータブルアプリのことを言っていることから、乗っ取りの方を仮定してみたというものである。

更に考察を進めると、「乗っ取り又は別の場所からのいずれにせよ、真犯人は被疑者がTorでアクセスできる状態であることを全アカウントアクセス時に確認してからアクセスすることは可能であったか?」という設問が考えられる。
これに「Yes」と答えられる人はおられるだろうか? 

犯人が使用しYahooアカウントアクセスに関して、我々が見られるのは一般の人がアクセスして公開した昨年11月15日分までであるが、犯人はラストメッセージを書くために自殺予告メールの後に受信した20通程度と見られるメールを見ているのだから、そのためのアクセスが11月13日の自殺予告メールの後に必ず存在する。
警察・検察はその履歴を当然入手している。
昨日掲載した履歴表から分かるように、11月13日メール送信後15日時点ではまだ犯人のアクセスは無かったので、少なくともアクセス履歴表に載っていない分が最低1回はあることになる。更に謹賀新年メール送信の際も最低1回はアクセスしていることになる。
これだけでも昨日の表で①と②、④と⑤、⑧~⑩をそれぞれ1回として足し合わせると、計8回(8日分)のTorによるアカウントアクセスがあることになる。
なお、これはメールアドレス「onigoroshijuzo@yahoo.co.jp」のアカウントだけの分である。

それ以外に延長戦メールで使用された「onigoroshijuzo2@yahoo.co.jp」 (2が付いた)もある。
”片山容疑者の逮捕後、何故か「真犯人」のメール確認途絶える、接続なし”
<このアドレスの管理画面には、片山容疑者の逮捕直前までは、何者かが接続元を隠した上で頻繁にアクセス。 受信メールがないか確認していた形跡があったいい・・・>
「onigoroshijuzo」のアカウントは謹賀新年メール送信直後に削除されたので、この記事は「onigoroshijuzo2」と思われる。
頻繁にアクセスがあったということで、この時も被疑者状態チェックしていたのかということになる。
ただ、「onigoroshijuzo2」のアクセス履歴は全く公開されていないので不明ということであれば、「書込代行依頼」のTorレスも7回ある(wikiより)。

iesys.exeによる遠隔操作は佐藤氏が「再遠隔操作ではない」という主張しており、別扱いとして回数のカウントに入れないとしても(実際は同様の問題が発生すると思うのだが…)、
「onigoroshijuzo」で8回、「onigoroshijuzo2」も延長戦メールで最低1回、代行依頼書込で7回、計16回も被疑者状態確認しなければアリバイ成立してしまう可能性のあるアクセスがある。
それ以外にもDropboxなど日時がまだ明らかにされていないアクセスが有るだろう。
全てTor(代行依頼1回だけ生IPの話はラストメッセージで否定)によるアクセスだから、被疑者がTorでアクセスできる状態にあることの確認が都度必要になる。

(当方注:以下の<・・・>の部分は翌23日の記事で訂正を行って削除扱いとした、理由等は23日記事参照)
また、具体的にどうやって被疑者がアクセスできる状態に有ることを確認できるのかという大問題もある。
佐藤氏の指摘の「PCだけが動いている場合は犯人の側から見たら分からない」からである。
(また、このような場合だけでなく、PCの電源が切れている場合は大いにあることで、この場合は動いていて触れない状態よりは確認は容易になるだろうが、動いていることを何らかの方法で事前確認する必要が有る)

”(佐藤氏推測の)身代わり人物を用意しておくためとは云え、果たしてこのようなことまでして逆アリバイ工作していた真犯人が存在するのであろうか?”
これが当方が非常に重要と捉えている考察の結果となる。

個人的にこの問いを受けたら、「有り得ないでしょう」と答えることになる。
そんなに自分が捕まりたくないなら、他のもっと合理的な手段を講じると推測するからである。
例えば一番端的なのは、リアルに出て来なければ捕まらなかった。
また、当初の頃に仮説として出ていた、「何らかの理由で被疑者を逮捕させたかった人物がやった」という想定をするなら、もっと分かりやすい証拠、例えば犯行声明や自殺予告の文章でも事前日付でPC内に残しておけば容易で確実だった。(実際に犯人は他の遠隔操作された人たちのPC内に予告文章の一部などの痕跡を残したことがあることを犯行声明メールで書いている)

ただし、冒頭で述べたように、被疑者と弁護側がアリバイ証明出来る日時が出てくれば、この限りではないということになる。
そのためにも早くアリバイ論議が争点の中心になって貰いたいと思う。

なお、この考察は rec*lde**des*さんのコメントにある「ずっと被疑者の一挙手一投足を監視し被疑者を犯人に仕立てる人って誰が考えられるのでしょう?」という疑問に対する回答にもなると思われる。
「一挙手一投足」までは対象としていないので部分証明になるが、この場合は真犯人の有無という単一命題なので、部分的にでも「無」と証明できれば、他で明確な「有」の証明(例えばアリバイ立証)が出来ないと命題は「無」で確定になると考える。
( rec*lde**des*さん、以上の逆アリバイ工作の面からの論証で如何でしょうか?)

以上