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アリバイに関して1(勤務時間外)

第4回公判前手続後記者会見で明らかになった様々な事柄の考察を今後実施。
まず本日はアリバイに関して考察。
昨日文字起こしした部分で、木谷弁護士が以下のように言っていた。
 木谷「アリバイと云っても12月31日のことだけ。雲取山も江の島も現地にいたことは認めているからアリバイになりっこない」

当方が思うには、これはちょっと違うのではないか。
どういうことかというと、12月31日はラストメッセージの作成想定時間帯(1月1日謹賀新年メール発信時間帯含む)に被疑者が自宅にいたというところからアリバイの話になっている。
母親と紅白歌合戦などを見ながら過ごしていたという話が早くから出ていたからである。
それで、母親とTV見ながら長文のラストメッセージを作成するのは無理ではないか?とか、
1月1日になって謹賀新年メールが発信された時間帯に被疑者がメール自体を出していなければアリバイが成立するのではないか?、というようなことになる。

木谷氏も当然そのことを言ってると考えられるが、メールは元旦の深夜だけではない。
他の4通も全て夜遅くで完全に勤務時間外であり、検察が遠隔操作が行われたと見ている派遣先PCは使えない。
佐藤氏は記者会見で「アリバイが何よりも弁護側の主張」と言ってるぐらいなのに、どうも今回弁護側からアリバイ主張に関してまだ本気が見えて来ていない気がする。
「何よりの主張」というなら、「C#出来ない」という主張より重きを置くぐらいでも良いはず。でもそういう意気込みは伝わってこない。
それが前述の木谷氏の発言にも現れているのではないかと思わざるを得ないのである。

勿論検察の犯人性の主張と証拠開示が遅れて、弁護側としてアリバイ立証をどの時刻に対して行えば良いのか判断がつきにくかったことは間違いない。
しかし、謹賀新年メールのアリバイには言及しているわけで、それなら同様に他の4通も発信日時は正確に分かっていて、しかも全部夜遅くである。
当然自宅にいたと考えるのが自然で、12月31日~1月1日にかけてのアリバイの話とそう変わらないはずである。
それなのに「12月31日だけ」と言い切ってしまうとは全く腑に落ちない話。
ただ、木谷氏はまだ裁判官のメンタリティが濃く残っていて、「アリバイが何よりの主張」という佐藤氏のような弁護士的発想にまだ馴染んでいないということもあるかも知れない。

それで、当方では12月31日~1月1日以外のアリバイも検討してみる。

検察は基本的に派遣先PCで遠隔操作が行われたと見ているから、まず派遣先の勤務状態がどうなっていたかを考える必要がある。
派遣先は今回二つが対象になる。南青山と10月以降の派遣先である。

南青山の方では検察想定のウィルス作成期間(6月末~8月末)には、被疑者は本来業務に殆ど従事していなかったと検察は主張している。
また、佐藤弁護士は以前の記者会見で「仮に派遣先の仕事の合間を縫ってウィルス開発していたとしても、遅くとも8時頃には仕事を終えて、9時頃には家に帰っている」と言っていた。
この二つの話を総合すると、”本来業務をしていないのに8時まで残業している日がある”ことになる(頻度は不明)。

本来業務をせずに残業するとは最悪の勤務パターンであるが、派遣先は約2ヶ月、或いは9月の遠隔操作も含めるとそれ以上も気づかなかったのか。
完全に開発担当者(被疑者)へ丸投げで、途中段階はノーチェックだったのか。それなら派遣で来てもらう意味が無い。
派遣先社内で他の人とも共同で開発したり、随時打合せをしたりするから常駐して貰う。
そうでなければ派遣元の会社で開発して、必要なときに成果物だけ納品してもらえば良い。

ただ、そうは言っても検察側主張は遠隔操作も派遣先PCで行ったというのが基本であることは間違いない。
そうなると殆ど業務しなくても見つからない管理が甘い会社としたら、遠隔操作も勤務時間中にやれたかもしれない。

しかし、遠隔操作は会社にいない日曜日にも行われている。また、毎日のように8時まで残業ということでなければ、退社後と思える時間帯もある。
勤務時間中も会議などで自分のPCに触れない時間帯もあるが、会社にいなければ全く触れないのでアリバイ立証も考えやすくなる。
よって、会社にいない時に行われた犯行や犯行関連行動におけるアリバイがまず重要になってくると思われる。

加えて、10月からの派遣先での勤務状態と、全て10月以降に出されているメール5通の時間帯も重要である。
新派遣先の方は、職場環境が変わるし、遠隔操作も行っていないから、状況は南青山の時と相当変わっているはずだが、その情報はないので基本勤務時間は南青山の時と同様と考えてみることにする。

以上のような条件を踏まえて検証を行ってみる。
まず、派遣先2つとも基本勤務時間を午前9時~午後6時として、時々8時ぐらいまで残業があったと仮定し、犯行関連時刻を以下のように整理してみる。
明らかに勤務時間外と分かるもの以外に、微妙な時間帯のもあるので1と2に分けた(1は更に日曜日と夜10時以降に分けた)。

1.明らかに勤務時間外
  (1)日曜日・・・大阪の最初の犯行
    ・7月29日(日)21時45分頃 - 大阪市公式サイトの相談窓口ページに「8月5日にヲタロードでトラックとナイフで無差別殺人をする」という内容の犯罪予告の投稿。
    ・7月29日(日) - 首相官邸の公式サイトへ「桜田門前で皇居ランナーを無差別殺人」という予告(当初はメディア非公開、詳細な時刻は今だ不明だが犯行宣言メールにはヲタロードの後に予告を送ったと書かれている)。

  (2)夜10時以降・・・メール5通
    ・10月9日(火)23時22分 - 落合洋司弁護士宛犯行宣言メール
             →落合弁護士が気が付かなかったので翌日再送
    ・10月10日(水)22時20分頃 - TBSラジオの番組『ニュース探究ラジオ Dig』宛犯行宣言メール再送
             →このラジオ番組に被疑者が名前を検索したとされる「神保哲生」氏が出ている
    ・11月13日(火)23時54分 - 落合弁護士や報道機関宛て自殺予告メール、人形と当日朝刊の神奈川新聞などが写っていた。
             →出社前に何処かで神奈川新聞入手していなければ、退社後に朝刊入手して写真撮る必要がある。
               更に、今回記者会見とsatoru氏情報で、リミットが「 CreateDate 2012:11:13 23:12:31」又は「GPSTimeStamp  22:58:20.93」に繰り上がることになった。
    ・1月1日(火)午前0時18分- 「謹賀新年」のタイトルで複数の報道機関や記者にメール
             →母親と紅白歌合戦などを見ていたと供述
    ・1月5日(土)午前0時34分- 「新春パズル ~延長戦~」のタイトルで25人の弁護士・個人や報道機関にメール
             →正月休みが続いていた可能性があり、土曜日でもあるので休日だっただろう

2.勤務時間内か外か微妙な時間帯
 ・7月31日(火)18時31分-トロイVer2.23コンパイル時刻
 ・8月24日(金)19時5分 -犯人が代行依頼スレに書き込み。
  →この日は金曜日で本来業務もしてないのに7時過ぎまで残業するだろうかという疑問も有る。
 ・8月29日(水)20時21分 - 2ちゃんねる東京ビッグサイトで9月2日行われるAKB48の握手会でAKBメンバーの殺害予告の書き込み。
  →この日は午後8時さえ過ぎている。片付けて帰ったら会社出るのはもっと遅い。会社にはいなかった可能性のほうが高い?

勤務時間外や微妙な時間帯でもこれだけアリバイ検証できそうな日時がある。
微妙な時間帯においても、帰宅途中などなら交通機関ICカードや駅の防犯カメラ等でアリバイは調べられる。
コンビニ等に寄ればその映像も残る。(保存期間の問題は有るだろうが)

また、被疑者マンションの防犯カメラ映像も押収されているので、家にいたかどうかも調べやすいだろう。
(被疑者の自宅マンションの防犯カメラ24台を警察は1/11に回収、そして被疑者が在宅か外出かを割り出し済、という情報もコメントで頂いた)
ただ、マンションの住人でよく知っているだろうから、防犯カメラの目をかいくぐる方法があったかも知れないので、防犯カメラ映像が在宅/非在宅の100%証明になるかは微妙。
また、自宅から派遣先までの通勤経路も不明である。多分地下鉄等と思われるが、被疑者はバイクも所持していてバイク通勤(時折含む)の可能性も残る。

この辺は勤務状態などと併せて、派遣先に取材すればすぐ分かるだろう。
しかし弁護側から派遣先名など提供して貰えて取材しようと思えば出来るはずの週刊現代や江川氏などからも、未だ派遣先情報は出てこない。
派遣先に対しては警察・検察からの口止めや会社としての緘口令はあったとしても、匿名で話してくれる人はいるかもしれない。
そういう取材ルートを探しだすのがマスコミであり、ジャーナリスト。
週刊誌は突撃取材はお手のものだし、江川氏は猫の首輪裏返しの件で江の島まで行って証言を取っている。
新聞社やその系列のTV局ではなく、週刊誌やフリージャーナリストは検察への配慮もそう深く考えないだろう。
そんな行動動力のある人達が、何故スクープ間違いなしの派遣先取材をしないのか。これも本事件の大きな謎と考えている。

そして、検察側は勤務時間中も時間外も全部まとめて「東京都内又はその周辺、インターネットに接続されたPC」ということにして、それで最後までアリバイ論争をかわす方針なのだろうか。
或いは、未だにどうなっかたか分からない「ネットカフェ」での証拠などがあるのか。(開示証拠見ている弁護側からは今回の記者会見でも全く話が無かった)

また、被疑者は何故自ら強くアリバイ主張をしないのか。
元々スマホにニュース映像という猫の写真が残っていたぐらいだから事件のことは知っていたわけだし、Wikiも見ていたと弁護団は言っていた。
収監されてからも、弁護団との接見で長時間事件の話しをして情報を得ている。
自分がどの日時のアリバイを主張出来るか、本人が一番良く知っている。そして今は人生を左右する正念場である。
それでアリバイ主張を前面に押し出さないのは、犯人だからなのか?、或いは検察がもっと詳細な犯行経過の推定を出してきて、それをアリバイで切り返すタイミングを待っているのか?。
弁護側も、「アリバイが何よりも弁護側の主張」と云いながら、何故アリバイ立証での無罪証明にもっと積極的に打って出ないのか。

本格的アリバイ立証論議に入る前の関係者の方針に関してだけでも不可解なことが多い事件になっている。

以上