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第4回公判前整理手続後記者会見4

文字起こし続き。今回は佐藤弁護士の説明終了まで記載。残りは記者団との質疑応答。

[佐藤弁護士の話]
今度は江の島です。
江の島について先ほど3回に限ると言ったのは3枚の猫の写真なんです。
これはお見せしないと分かりにくいんですけども、PCで犯人の写真を検索してもらうと、猫のグレイの正面から写した写真で首輪が付いてないように見える写真が1枚目にあって、2枚目に横向きのグレイの写真があって首輪は付けてません。3枚目にピンクの首輪を付けたグレイの写真があって「装着ッ!」と書かれている。

それで1枚目が「ゆたかくん1」、2枚目が「ゆたかくん2」、3枚目が「装着ッ!」となっている。首輪の付いていないのが2枚あって、付いているのが1枚と考えていた。
ところが先ほど言ったように被疑者がグレイの写真を撮っているのが、防犯カメラでホントに遠目なんですけども、猫を写しているように見えるのがある。

そのタイミングなんですけども、1枚目と2枚目の間がちょっと時間があるんですけども、2枚目と3枚目は秒の単位で連続的に撮っている。
そうすると送られてきた写真の1枚目と2枚目が付けていない写真で、3枚目に付けたというのと合わない。
解析した結果どうなったかというと、首輪を付けた写真が2枚目の写真で、1枚目と言われる写真は実は首輪を付けた後の写真なんだという説明になってしまっている。
それは一体どういうことなんですか?ということで、犯人が3枚の写真しか撮らなかったというのも変な話だし、「装着ッ!」という写真を撮っておきながら、正面から(付いているか付いていないか)どちらともわからないようなのを撮っておいて、しかもそれを順番を変えて送りつけたということになるんですか?

それで大前提なのだけども、私は思うに犯人がグレイの写真を3枚しか撮らなかったかどうかというのはどこにも分からない。犯人が送りつけたのは3枚です、でも犯人が3枚しか撮らなかったということが確定されてから、被疑者が3回しか撮ってないから一致しているというならまだわかる。
だけども前提がはっきりしていない。
では被疑者は3回に限るのか?と聞いたら検察は「3回に限ると主張してない」と言っている。つまり、猫の写真そのものが曖昧。

それともう一つこれは前回言わなかったのだけれども、7月10日に検察の主張と証拠を受けて、「あれっ」と思ったのが一つある。
猫の首輪にSDカードというのはセロテープでくっつけられているらしい。
被疑者が1月3日にコンビニでヘルメット姿のままセロテープを買っている。被疑者もそれは認めている。
バイクで江の島に向かうんだけども、「バイクにナビは付いているが精度が良くなくて、道路の地図をプリントアウトしたものを付けるためにセロテープを買った」と言っている。

そうは言ってもセロテープが一致してればアウトじゃないかと思っていたが、ところが実際証拠を見てみるとセロテープの幅と厚さが微妙に違っている。
これじゃダメなんじゃないですか?と検察に言ったら、それ以上何も言わない。

だから結論的に、どうか60ページに渡る私達の書面を改めて見てもらいたい。
検察はその中の2点については答えるが、それ以外は答える必要がないと言っている。
その中で求めた重要な事というのは、
1点目は、この事件は検察側の主張によれば犯人は単独だということを前提にしているのだけども、これだけの緻密なことをやっているから、複数で取り組んだという可能性だって有るのではないか。
何故単独犯であることを前提に議論しているのですか?ということを質問しているが、これについても検察官は答えない。

もう一つ質問したことで検察が答えないのは、昨年4人の人達は遠隔操作された。
被疑者も今回遠隔操作された可能性があるのではないか?被疑者が遠隔操作されていないということについて検察官はチェックしたのか?
例えば検察官が盛んに証明予定事実で主張したことは、被疑者のPC、主に派遣先PCで検索履歴がラストメッセージのものについてだとか、そこにウィルスの痕跡が有るんだとか、そういうような主張がなされている。
しかし、被疑者のPCが遠隔操作されていれば、犯人にとってそういう工作をすることは極めて簡単。
しかもさきほど言ったようにラストメッセージで、意味深だけども「犯人性を高める工夫をした」と書き、「捜査の結果新しい犯人の逮捕にならなきゃいいですね」というようなことまで書いているとすると、
被疑者のPCがそうされていないことについて、どういう捜査をした結果そういうふうになっているのか?を明らかにしてほしいと言ったら何も言わない。

それで一言滝沢検事が起立して言ったことは「去年はIPアドレスだけを辿って逮捕してしまったが、今回はそういうものではなくて幾つか有る」と言った。
しかし、先ほどのまどか☆マギカ雲取山に登った、猫に接した、PCに痕跡があったというだけの話。それ以外のものはない。

それで私達が言っているのは、被疑者の自宅のPCからはウィルスの関係するものは一切出てこない。
ウィルスに関連するサイトとか、セキュリティに関連するサイトとかにアクセス履歴が全くないのはどういうことか?
C#が使えないことについても、ちゃんとしたものがあるのかということを求釈明しているが、それについても一切答えない。

最後に平光公判副部長が起立して、「もうこれ以上こういう議論をしていても仕方がないので、立証に入りたい」というようなことを言われた。
私達は、「ちょっと待ってください、犯人性についての議論は全く煮詰まっていないじゃないですか」、
それでともかく(公判前整理手続に)入って、しかも先ほど起立した小林検事が「検察の立証ができなければ無罪でいいんじゃないですか」というようなことまでやって、被疑者がこういう状態で拘束が続いているということは見過ごせないという主張をした。

もう一点検察官が弁護側がしている主張を予定主張と認めてないわけですが、それは証明予定事実より先に出しているので、順序が違うと云って認めていない。
しかし、アリバイが何よりも弁護側の予定主張だが、証明予定事実を全部知って請求証拠を全部見た後にそういうアリバイを主張した時は、検察から今までも「手の内を知った云わば後出しジャンケンだ」と言われて、「そんなの信用出来ない」と言われてきた。

裁判所だってそういう主張だから信用性に劣ると云って、有罪にしてきたという歴史がある。
今ある公判前整理手続で弁護側が検察官の主張、手の内を知ってから出しても良いとなったのは、法科大学院でずっと教えてきてることだけども、弁護人には黙秘権というのがあって積極的に主張する必要はない。
ところが今の公判前整理手続は、もし公判で主張する事実があるとすれば、それを公判前整理手続のところで主張し、どういうもので立証するのかということを言っておかないと、やむを得ない事由がない限り公判が始まってから出してはいけないと手続きになってしまった。
そうするとかなり早い段階で弁護側の主張を、検察官の主張が終わっていない段階で出さなければいけない。
これは黙秘権の侵害ではないかという議論がなされて、そうではないということになった。
一応検察官が主張も出す、証拠も出す、類型証拠の開示も行って、検察官の手の内が全部出た後であれば、弁護側のそういうものを主張させてもそんなに無理難題を押し付けるもではなないだろうということでjこういう制度になった。
そういう解説がなされている。

被疑者の場合は、公判前整理手続が始まってから先行的に言ったのではなくて、起訴される前の勾留理由開示の時に積極的に我々はC#が使えないとか、雲取山にそんなことは何もしていないとか、基本的なものは全部言ってきた。
勾留理由開示の時は検察官の質問にも答えるから聞いたいことがあれば聞いて下さいと私達は言ってきた。
そういう先行的な主張がなされたから、検察官はそのことに一つでも噓があれば決定的な逆転になる。
C#が使えないと言って、どこからも見つかるはずがないと豪語しているわけだから、「あったぞ」と言われたら逆転。
そういう極めてデッドヒートが最初から始まっているから、無視していいような主張ではない。
それで今回公判前整理手続が始まってから改めてそれをまとめて出した。
それをあたかも法律上では主張がされていないような言い方をする。いい加減にして下さい。
検察官はそれを一つも破れなかったから、そんなことを言っている。

今日検察が出した書類は、はっきり言って検察の敗北宣言だ。
弁護側がずっと先行的に主張してきたことに関して、何一つそれが嘘だったと証明できない。
アリバイ主張のことを考えてもらえば当然のことですよ。アリバイ主張が、検察官の手の内を知ってからアリバイを主張しない限り、アリバイの主張と認めないと検事は言っているわけですよ。
私達は裁判官にこんな馬鹿な主張をここで認めるんですか?、裁判所はこれを予定主張として認めるんですか?と聞いたら、裁判所は「予定主張と認めます」と言った。

今日あった手続は、結局弁護側がまとめて出した書面について検察官は何も答えられなかったということです。私達は堂々と検察の敗北宣言ですと言います。
このままで何も出さないと検察官は言うので、次回9月24日に予定されている整理手続の進行をどうするかということになって、それなら私達は納得はできないけど検察官の要望に沿って、渾然一体としているということだったので、認める点はこうである、弁護側が主張するのはこうである、類型証拠の請求はこういうことをするというようなことを、もう一度改めて2週間程度もらえれば書面作りましょうということで、9月9日までに出す。

それを受けて、ここまでやったのだから検察官ちゃんと主張してくださいねということで、次回やることになりました。
結論的には前回から今日までのところで、検察官はちゃんと答えることになっていたのだけども、検察官が積極的に答えたのは、「雲取山に12月1日頃に埋めた」ということと、「猫の写真を撮ったのは3回に限るものではない」ということを言っただけ。
それ以上のことは何も云わないで過ごしてしまったということ。
それで10時から始まってそんなに時間がかかるはずがないと思って、記者会見を10時半に設定したが、ラストメッセージについて弁護側が目的外使用ではないかというホットな話題で追求を受けたために時間がかかってしまいました。
以上です。

(以上、約38分頃まで・・・ここまでで佐藤弁護士の説明は終了)
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[考察]
・猫の写真の順番の問題については、まず以下に犯人からの写真を示す。イメージ 1
 これらの撮影順序が、②→③→①でも、そう不思議ではないように思う。 
 今回示された順番だと位置は「背もたれ上」→「ベンチ上」→「ベンチ上」となる。
 余り動かない猫だから、今回の順番の方が納得性が有るとも言える。
 ただし、①の正面からの写真を撮るために猫の前に回ると、以前ご紹介した以下の写真で監視カメラと猫の位置関係が掴めると思うが、被疑者が監視カメラと猫の間に入ることになる。
 監視カメラは被疑者の背中側から映すことになり、ベンチ上の猫は被疑者の陰に隠れる可能性が高い。その場合は、被疑者が写真を撮ったと確実に断定できるのかという疑問が出てくるだろう。
イメージ 2

 なお、当ブログで以前述べたように、②「背もたれ上」→③「ベンチ上」という猫の動きがあることは新旧どちらの順番でも同様なので、この猫の動きに合致した形で被疑者が写真を撮っている姿が映っているかどうかが鍵となる。
 だから、はっきりさせるためには、監視カメラ映像には当然タイムスタンプがあるから、被疑者が撮ったとする3枚の写真の正確な撮影時刻を検察に特定して貰い、監視カメラ映像と時系列で詳細に見比べるのが確実な方法と思う。
・”複数犯説”と”被疑者PCも遠隔操作されていた可能性”に関しては、別途後日考察。

以上