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現時点情勢分析(7月24日)

現時点で明らかになっている証拠と反証を挙げて、争点を考えてみる。

 検察側有利な証拠
  ①江ノ島猫時間帯・・・被疑者去ってから5分後に首輪の付いた写真
  ②トロイ等痕跡・・・痕跡ではあるがiesys等の名前もある模様
  ③VS痕跡・・・コンパイル時の文字列が被疑者PCと矛盾しない(Hewlett-Packard著作権表示)
  ④キーワード検索・・・多数の事件関連ワード検索履歴を提示
  ⑤勤務状態・・・「ほとんど業務に従事していなかった」と主張(証拠は不明)

 弁護側有利な反証
  ⑥遠隔操作・・・検察は未だに「東京都内及びその周辺、インターネットに接続したPC」の表現使用とのことで、証拠出されていない模様
  ⑦アリバイ・・・日曜日の遠隔操作、元旦メール等証明できていないと思われる(それで「東京都内又はその周辺」と曖昧になる)
  ⑧江ノ島猫画像・・・肝心なところはカメラに背を向けていて見えない(付けてないと言われたら、検察側は装着の直接目撃者や写真が出てこないと完全証明困難)
  ⑨被疑者精神状態・・・7月から通院していた状態でトロイ開発できたのか
  ⑩自宅PC・・・自宅でなぜトロイ開発しなかったのか検察側から説明がない

 微妙な証拠
  ⑪雲取山USBメモリ・・・1月の捜査で見つからなかったのがなぜ5月に見つかったか。被疑者が埋めた証拠はあるのかと弁護側は主張

 7月18日会見では触れられなかった証拠
  ⑫ネットカフェ動作実験・・・弁護団の6月28日記者会見で言及あったが、7月18日会見では全く触れなかったので証拠の有無も不明
  ⑬C#使用見て声を掛けた証言・・・同上。ただし、7月18日会見では同僚が「被疑者からC#で作成したソフトをもらった」という証言があるとのこと。弁護側は「被疑者が入手したもので、作成したものではない」と反論。又弁護側の「C#出来ない」という主張の関係者証言などもまだ出していないと思われるが、今後出てくることが考えられる

これらを争点として項目を突き合わせて考えてみる。
①は5分という短時間であり検察に非常に有利な証拠だが、弁護側は⑧で完全な装着証明ではないと反論する。
②と③は一応物的証拠であるが、弁護側は「誤認逮捕者はPCにiesys.exeがあって無罪なのに、今回はそれがあるから有罪というのか?(つまり、被疑者PCも何者かに工作された可能性を提起)」などの論理で反論。検察側は「工作の可能性はない」と主張しているが、それを証明できるか。
④は例えば「猫、首輪」について被疑者は記憶に無いとのこと。ただし検索ワードは色々あるので弁護側も宿題と言っているが、記者会見では基本的に前述の「他者工作の可能性」を指摘する意向を示していた。
⑤はウィルス作成の裏付け証拠になり得るが、被疑者取調を行なっていないので勤務状況を詳細証明できるか。弁護側は、従来からの「C#できない」という主張と併せ⑨と⑩で反論。
⑪は弁護側が記者会見で強く疑問呈していたが、元々犯行には直接関係なく、江ノ島猫ほど時間帯も明確ではないため影響度合いは不明。
⑫と⑬は詳細が明らかでないため、現時点では評価困難。

争点全体を客観的に見ると、物的証拠を有するという点で検察有利と考えられるが、肝心の場面が映っていない映像や「痕跡」レベルとかいうことで、弁護側の反論に対して完全決着させることも難しそうである。
そうなると、本事件の犯行の本質は何かということになって、「遠隔操作」の証拠はどうかということになってくる。その場合、⑥と⑦で「証拠不十分」と言わざるを得ず、弁護側が有利になるだろう。

ということで、現時点では「首輪装着時間帯を5分に狭めた証拠は重いが、肝心の遠隔操作の証拠不十分で、トータルでは弁護側有利ではないか」と当方は見ている。
これを覆すには、首輪装着を直接目撃した証言か写真、及び遠隔操作の具体的証拠提示などが必要と思われる。
ただし、これまでも述べているように現在までの情報は殆ど弁護団の発信から得ているので、最終的に裁判所の判断がどうなるかということになる。 
だが、裁判所の姿勢に関しては、裁判長自らが検察側に対して「異例、異常」と述べた経過もあり、今回は検察べったりではないと見ても良いと思われる。

以上