(続)検察の肉声
犯人性を記述した「証明予定事実記載書」(第三部)の提出がいよいよ明日となった。内容は事前には全く伝わってきていないが、検察の対応を予測するために「検察の肉声」第二弾を記す。
検察発言の前に、2月19日に佐藤弁護士が江川 紹子氏のインタビューに答えて、以下のように言っておられる。検察・警察は、確実な証拠を持たずに有罪にしようとしてるのではないかという推測である。
このような推測に関して、検察側の実際の対応を示す肉声を被疑者が自筆メモで明らかにしているという記事があった。
"PCなりすまし事件 誤認逮捕の反省はゼロ 警察と検察「こんな捜査でいいんですか" 現代ビジネス2013年04月03日(水)週刊現代
3月5日、検察はたんなる手続きにすぎない「弁解録取」を悪用して「違法な取り調べ」を3時間30分にわたって行った。本誌は、「取り調べ」の様子を記録した片山さん本人による自筆メモも入手。
それによると、水庫一浩検察官はこう片山さんに迫ったという。
「証拠の評価からすると君は有罪だ。複数の事件があるけれど、起訴できる事件については起訴していくつもりだ。このままあなたが否認や黙秘を続けていても起訴できるよ。
とにかく今のように取り調べを拒否し続けているといつまでも(留置場を)出られない。早く出たいなら、取り調べを受けて、自分が犯人ではないと証明してよ。
そうでなければ君に不利になるだけ、このままでは必ず起訴だ。君はどうするのが得か、よく考えてみなさい」
言うまでもなく、有罪かどうかを判断するのは裁判所の役割である。検察は物証を提示して、犯罪の根拠を示すことがその役目だ。にもかかわらず、容疑者に向かって有罪と断ずるばかりか、無罪の証明までも要求する。
片山さんのメモどおりのやり取りが行われたのであれば、これは検察による「脅迫」である。
検察側は上記のように被疑者に自ら取調で無罪証明することを求めたようである。しかし、否認や黙秘でも有罪を証明できるという証拠があるなら、もっと早くそれを示すべきだった。そうしたら、被疑者側も弁明せざるを得なくなる。
だが、3月22日に初回起訴して公判前整理手続きに移行しても犯人性の証明を明らかにせず、捜査継続として犯行場所もPCも特定しない(出来ない)再逮捕・追起訴を続けた。捜査継続でも取調は一切なし。
そして、捜査中を盾に証明予定事実記載書を三部作として、肝心の犯人性の証明を第三部の7月10日まで延ばしてしまった。3月22日起訴分だから約3.5ヶ月もかかっている。
こんなに遅らされては、例えば弁護側がアリバイ立証しようにも、人間の記憶の壁や防犯カメラ・乗車記録などの保存期間の問題なども出てくる可能性がある。明らかな被告の防御権の侵害である。
明日どのような犯人性の証明が出てくるか。予想すると、3月の頃と変わらない情況証拠の集合体が出てくるのであろうか。だが、基本的に被疑者に確認しない情況証拠では効力に疑問符がつく。
検察側はネットカフェでの動作実験の証明を出してくる可能性があるが、ネット犯罪なのだから一つでもアクセス記録やPC内履歴等のデジタルデータで確実な証拠を示せるのだろうか。
明日以降一番重要なことは、白黒いずれにせよ、10月まで公判前整理手続が設定されているからといってダラダラと時間を使うべきでないということだと思う。検察には迅速な証拠開示を望みたいし、弁護側はアリバイなどによる無罪立証を先行して実行するなどして出来るだけ早い決着を模索して頂きたい。裁判所も、検察にここまで引き延ばされてきたのを反省してもらって、訴訟指揮を強力にやって頂きたい。このまま時間がかかっていくのでは、有罪無罪に関わらず被疑者にとって余りにも過酷である。
以上
[追記]
弁護側が反証のポイントにしていて、皆さんも注目しておられると思う「C#使えるか」に関して、以下の雑誌記事があったので参考にご紹介。
(今回の事件ではリーク記事は精度が悪すぎる感じだが、この記事は記者の直接取材のようなので証言者(社長)の生の声に近いと思われる)