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逮捕時の謎の考察2

謎(2)”逮捕の決め手は実際は何だったのか?”の考察であるが、その前に昨日の謎(1)に補足。
監視カメラに関する産経新聞の記事を紹介したが、その中に以下の記述がある。
「暗視装置付きで夜間でもはっきりと人物を確認できる。」
だが、赤外線暗視装置付きは広場に設置されたDG-SW395ではなく、別の場所に取り付けられているDG-SW316Lと云う機種である。
DG-SW395も「白黒切換機能を搭載し、低照度時に自動的に白黒モードへ切り換えできるため、夜間の撮影も鮮明です」となっていて、夜間撮影は可能である
しかし、通常言われる暗視装置は赤外線タイプなので、「暗視装置付き」という表現では赤外線暗視装置を思い浮かべる人が多くなり、記事は誤解を与えることになる。

Panasonic社の導入事例でも以下のようにはっきり書き分けている。(なお以下の記述のLEDは赤外タイプである)
「導入されたカメラは高画質メガピクセルの屋外型コンビネーションカメラ(DG-SW395)と、夜間でも鮮明に写るLED照明付カメラ(DG-SW316L)を使用し、システム構築しました。」
ただ、首輪装着は午後3時前後で夜間ではないので暗視装置付きかどうかは特に関係ない。
だが、江ノ島全体で複数機種(公園のALSOKロゴの機種を含めれば少なくとも3種類)のカメラが有るというような監視カメラ事情は、設置場所も含め後々重要になってくる可能性がある。
被疑者が犯人でなかったら、真犯人がいて監視カメラに映っていることが考えられるからである。
以前書いた雲取山USBメモリ発見もそうであるが、一見重要で無いように見えて実は事件の推理に大きく影響を及ぼすこともあるから、情報の正しい把握は必須である。

それでは謎(2)の考察に入る。
まず捜査1課長の当日会見で「手元は映っていない」と明言しており、それは「首輪を付ける場面は映っていない」ということを意味すると思われ、逮捕の決め手にはならない。
(因みに前述の産経新聞の記事は「この防犯カメラの性能はすごい。これがなかったらと思うとぞっとする」と捜査関係者が興奮気味にまくし立てたと書いているが、手元は映ってないので決定的映像ではありえず、そこまで興奮しないだろうということで芝居がかった受け狙いの表現と見えてしまう)

広場に被疑者だけしかいない、或いは被疑者を含むごく少数の人物しかいなかったというならともかく、大道芸も行われていて広場には大勢の人がいた時間帯である。
監視カメラ映像で猫の方向に映っている人は相当な数になるはずである。その中に被疑者が含まれていても、それだけでは逮捕する理由にはならない。

以下の記事など複数の当日新聞記事で「猫に近づく不審な男の姿が防犯カメラに映っており」という記述がある。
カメラの画角検討からも「近づく姿」という程度の映像ではないかと当方は推測している。
”逮捕の男、容疑を否認 パソコン遠隔操作事件 ”日経新聞 2013/2/10 8:48 (2013/2/10 13:23更新) 

そうすると他に決め手が必要になる。
ずばり決め手は「スマホの猫の写真」だったのではないか。(6月27日訂正・・・6月26日付記事「コメント返信(6月25日分)で書いたように、警察は逮捕前からキャッシュ画像と知っていたので、決め手では無かった、但し以下の記述はそのまま残しておく
コメント返信(6月25日記事分)
つまり、被疑者が売却したスマホから、犯人からのメールに添付されていた猫の写真と同じ写真が見つかったことを警察は決め手と考えたのではないか。
犯人の予想人物像(ソフト技術者、ゲーム好き、年齢30歳前後)に合致し、雲取山周辺に行っていて、ネット犯罪の前科がある。相当重なっているが、それでもまだ逮捕の決め手にはならない。首輪を付けている場面の映像はない。何かもっと直接的に今回の事件につながる要素が必要。それが猫の写真だったと推測する。

しかし、御存知の通り、この写真を警察から見せられた被疑者によって、以下のように「自分が撮ったものではない」と説明されてしまった。
”【PC遠隔操作事件】被疑者が述べた全てを公開”
「犯人が送りつけた猫の写真と向じ写真が残っていたとする報道が一部ではあるようですが、私が撮影したものではなく、後にニュースサイトを見て、掲載されていたものがキャッシュ、つまり一時保存されていたものでしかないと思います。もし、私が撮影したものであれば、写真を撮影したときに格納されるフォルダに、元の解像度、つまり大きさのまま格納されているはずなので、そんなことはぜったいにないと思います」

その後この被疑者主張が覆されたというような報道は全くないから、やはりキャッシュに残ったものであったと推測するしか無いだろう。
つまり、警察が逮捕の決め手と考えた「スマホの写真」が、被疑者によってキャッシュ画像として説明されてしまい、実際に調べても被疑者の説明通りだったのであろう。

警察が決め手と考えた証拠が誤認で、それで逮捕したから誤認逮捕になってしまったということである。
実に単純なミスであるが、それを訂正しないまま何とか他に証拠を探そうとして結果的に見つけられず、今日に至っているのではないか。
写真を見つけた時点ですぐ決め手と思い込まず、逮捕の前に参考人として任意取調を行って確認すべきだったのではないだろうか。
今回は逮捕前の任意取調を行わなかったことが大きな失敗ではなかったかと思う。
(警察側も色々事情があったかも知れないが、前科の事件の時は逮捕前に任意取調をやっている。今回はもっと大きな事件だから、より慎重にやるべきだったと思う)

以上