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エア起訴

6月10日には、5月2日追起訴された件の証明予定事実記載書面提出が予定されていた。
しかし、報道でも弁護団からもその内容についての言及はこれまでに無いようである。
やはり、検察は3月22日起訴の件の対応と同じく、事件性だけ示して実行行為性も、
犯人性も示さない方針で今後も臨むものと思われる。

当方ブログで犯行動機の解明を行い、被疑者は動機から推定される犯人像と大きく
異なり無実であることを示した。
(「犯行の動機」に対する6月3日~7日の記事参照)
無実であるからこそ、被疑者が犯人であることを示す証拠は幾ら探しても出てこない。

それでも検察は被疑者が犯人であると考えて、”証拠は今後の捜査でも集められる
であろう”と、云わば「見込み起訴」したのではないかという見方が出ていた。
実際検察は、「関連事件の捜査中」を理由に公判前整理手続が始まっても証拠開示を
行なっていないから、このようにでも推測するしか無かった。

しかし、関連事件捜査中でも、起訴した件の公判前整理手続きは進むわけであるから、
検察は証拠を開示しないわけにはいかない。
どうするつもりなのかと考えていて、検察の対応の真相がわかってきた。

結論から述べると、”検察は被疑者無実を理解している”。
その理解の程度がうっすらか、確信かまでは分からないが、理解しているのは確実。

検察・警察には膨大な証拠が集まっていて、それを幾ら調べても被疑者の犯人性を
示す証拠が出てこない。
他の事件捜査中と云っても、同一犯人でトロイ使用の手口も同じなのだから、
被疑者が犯人なら今までの捜査で証拠は多数集まっていることになる。
捜査中は言い訳に過ぎず、証拠開示できないのは証拠がないと考えるのが妥当。

例えば犯人かどうか五分五分というような状況でも、犯人性を示すような証拠は
ある程度出てくるであろう。
8割9割犯人の可能性があるなら、相当それらしい証拠もあるはずである。
しかし、全く有効な証拠が出せない事態では、被疑者白と考える方が合理的と
いうのは、検察の人達も難関の司法試験通った人達であるから理解できる、

ネット上に飛びかう意見では「検察が起訴したのだから証拠はあるはず」、
「起訴したら有罪率は90%」などと無邪気なことを言ってる人も見かける。

しかし、検察の人達はさすがにそれほどものがわからないわけじゃない。
無実を理解しているからこそ、証拠を出すと冤罪に加担することも認識している。
検察の組織的方針は今までの流れで被疑者犯行立証で進むが、現場の担当者は
自分が冤罪を創りあげた記録が残るのは避けたいから、今後被疑者無実が判明した
暁には誤解や虚偽と判定され、それを出した責任を問われかねない証拠は出せない。

それでも遠隔操作による犯行があったことは事実だから、
「犯行場所は東京都内、又はその周辺。犯行に使用されたのはインターネットに接続された
パソコン」という漠然とした記述で、犯罪行為に対する起訴を行なっている。

”事実のみの記載だから、現時点では冤罪創出には加担していない”という驚くべき論理が
その裏に隠されているのである。
検察は、犯罪があったことは疑いようがないから、とにかく「東京都内、又はその周辺」に
いるはずの犯人に向けて、云わば空をつかむような起訴を行なって、
立件の実績のみは積み重ねつつ、後々の冤罪創出の批判を出来るだけ回避をしようと
苦肉の策に出ているのである。

「見込み起訴」を上回る「エア起訴」。
これが現在の真実の姿である。前代未聞の事態というしかないだろう。