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M氏証言変遷に関して

Seijiさんから以下のコメントを頂いている。
当方見解を詳細に説明しておいたほうが良さそうなので記事にする。 
  >検察はプロですよ。
  >自分たちが取った調書と、明らかに違う内容を「盛る」ように誘導や示唆するわけないでしょ。
 
当方も本来は検察がそのようなことをするはずはないと考える方である。
しかし今回は検察の関与の可能性を考えている。
その根拠として、江川氏記事の以下の部分が重要と見る。 
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佐藤 竹田弁護士から聞かれたように、検察官からの質問で「200行」と答えたが、KSでもPSでもあなたは「100行」と答えている。
検察官との打ち合わせで、倉持検事から「100行ではないか」と聞かれたことは?
M氏 ない
佐藤 検察官から「関数は1つではないか」と聞かれたことは?
M氏 ないと思う
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検察の再聴取時に、M氏が自発的に行数と関数の数を倍以上にしてくれたら、検察官は「ラッキー!」である。
しかし、Seijiさんも言っておられるように検察官はプロ。
証言内容が変わったら、その信憑性を確認するために、まず以前の調書と違う理由を聞く。
それを行ったかどうか確認しているのが、上記佐藤氏の質問と読み取れる。
 
またプロではなくても一般的に考えても、数字が過去発言と倍も違ったら確認するのが常識だろう。
Seijiさんは「単に証人が間違えただけでしょう。。。」という推測をされておられるが、
それであればご自身が検察官の立場でも、調書の数字を示して間違えた理由を聞くのではないだろうか。
 
当方は間違いなくそうする。
修整理由を筋道立てて説明できるかどうか確認しておかなければ、証言訂正の有効性を示すことが出来ない。
それで佐藤氏の質問の意味が理解できた。
 
答えがはっきりしない証人から、裁判長自らも理由を聞いている。
こういう展開になることは検察官も想定内だろう。
しかし、裁判長が聞いても証人から回答は得られなかった。
 
何故そのような検察側にとっての齟齬が生じたか?
公判前の複数回打合せで、検察側は修整理由までM氏と或る程度合意をしていたと当方は考えている。
そうでないと、検察側はプロでないことになる(ここ重要)。
しかし、「検察官から以前の調書の数字について聞かれたか?」という佐藤氏質問に対して、M氏は「無い」、或いは「無いと思う」と答えている。
検察側はプロだからこそ、違いの理由まで必ず確認しておく。
その当然過ぎることをやってないと言うのだから、何か裏があると考えざるを得ない。
 
結果的に理由を答えられなかった原因については、Seijiさんも言われる以下の通りだと思う。
  >検察が用意できた証人は、「言っていることが毎回異なり、信頼できない人だった」 

検察側が誘導したと言われないように慎重に事前打合せを進めて、数字を倍にした理由も合意はしたが曖昧なものになり、曖昧な分M氏では本番の法廷で佐藤氏や裁判長にうまく答えられなかったのではないか。
(ただし、これはあくまでも個人的推測としておく)
 
それと、ゆうちゃんさんが書かれているように「プロだからこそ、とぼけたり。」もあるだろう。
今回は数字を倍にして印象でポイントを稼いで、理由は答えられなくて突っ込まれても、検察官はフォローせずにそのまま流す。
柔道などで言えば、技の「掛け逃げ」のような戦術だったと当方は見ている。
見え見えで当然気づかれると思うが、世間の反応が佐藤氏の尋問の仕方の方に注目しているようなのは意外。
 
弁護側は江川氏記事にあるように、佐藤氏だけでなく竹田氏もその前に同様趣旨で尋問している。
弁護団として検察側の意図を見抜いていたと思われるから、会見等でその詳細説明が必要ということを昨日書いた。
ただ、検察側がそのような意図だったという証明も難しいから避けたのかも知れない。(証明にはどういう聴取をしたかの確認が必要で、証人聴取も可視化が必要と云われる理由がよく分かる)
また、当方自身も昨日は端折ったので説明が足りなかった。
自分の考えたことを説明するのは難しいと改めて思う。
 
なお、ゆうちゃんさんが懸念されている裁判官については、本事件だけにとどまらず、裁判官全体のプロ度をどう考えるべきなのかという疑問を以前から持っている。
特に、法律解釈等に関してはプロでも、裁判における「事実認定」という重要な行為に対して、裁判官は一般人を大きく越えてプロ足りえるのか。
(M氏証言も裁判長尋問でも肝心な理由を聞き出せないのでは、どのように捉えたのか全く分からない)

加えて今や裁判員裁判の存在がある。
一般人の判定が、合議体における構成数で優越する(原則、裁判官3名、裁判員6名の計9名で構成)。
この意味をどう認識するかは、法曹界のみならず社会全体でもっと深い議論が必要と思っている。
 
以上