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江川氏第5回公判メモ

ぺんてるさんから速報いただいて今朝見てみたので、本日2本目記事として「修正作業」に関する方の感想を記す。
江川氏記事冒頭に、会見では詳細が触れられていなかったN証人と検察官のやり取りが載っている。
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検察官はまず、N課長が片山氏に対して、C#を使ったプログラムの修正を指示した時のことを話題にした。
N課長は、「2009年春から秋にかけて作成した建築業向けの建築台帳の関するプログラムが、お客から不具合を指摘されたため、原因を調査し修正することになり、彼にその修正作業を依頼しました」と証言。
そのプログラムの大きさは「全体で数千行に及ぶもの」という。
検察官は、片山氏がN課長に宛てた2通のメールを示した。内容は、この作業についての報告。検察官とN課長は、これに関して次のようなやりとりを行った。
――不具合の原因を特定できたとして、手直しとはどういうことをするのか。
「問題となっている命令行を特定し、修正方法を確認して行を削除したり書き換えたり書き加えたりして変更します」
――被告人は、数千行のソースコードを読んで不具合部分を特定して記述を加えたのか。
「はい」
――被告人の修正が、後に不具合を生じたか。
「そういう記憶はありません」
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率直に言って、「印象操作もここまでやるか」と驚いた。
N課長が片山氏や弁護団と顔を合わせなかったという昨日会見での話も納得だし、片山氏が違和感持ったのも当然。
また江川氏が技術者ではない一般人として、「イメージ戦略は成功したように見える」と危惧を込めて書いているのも頷ける。
”数千行のプログラムの修正作業を一人で任されて問題なくこなした”というような印象を江川氏が表面的にでも受けたとしたら、それは確かに見事な印象操作のやり口。

しかし、当該修正作業というのは、片山氏が2008年2月にN課長が所属する派遣元の会社に入ってプログラマとしてスタートし、翌2009年秋口に参加したもの。
まだ経験は非常に浅く、「修正対象プログラムを作成する時も、片山氏はメンバーの一員だったが、彼が書いたC#のプログラムはバグだらけで使い物にならず、結局チームリーダーのI氏が全部書き直した」とのこと。
それでもチームリーダーI氏の下で5~6名の修正作業チームに加わったとのことで、想定されるのはテストによる不具合箇所の特定と部分的修正の役割と考えられる。

そのような状況であったにも関わらず以下のようなやり取りが昨日は行われた訳である。
< ーー被告人は、数千行のソースコードを読んで不具合部分を特定して記述を加えたのか。
 「はい」 >

仮に数千行のコードを実際に読んだとしても、Iリーダー以下の作業チームとしてやっているわけで、当然片山氏が全部読んだのではない。
しかし、「修正作業はチームリーダーI氏の他、5~6人で行った」ということは、何とこの日最後の被告人質問で片山氏が明らかにしたと江川氏は書いている。
つまり、N課長と検察官のやり取りの中ではチームで作業したことに触れていなかったということで、意図的と言って良い印象操作まで行ったことになる。
検察側とは証言前に4~5回打合せたというN課長が顔を合さなかった(合わせられなかった)のは心境が伝わってくる。
(更に技術者として付け加えると、修正作業で数千行のコードを読むとしても、不具合が報告されているのだから、まず入念に動作チェックを再度行って問題点を洗い出し、原因になっていると思われる部分のコードを重点的に読むというのが一般的やり方。そのテスト作業に人手がかかるから、片山氏の位置付けはテスト要員が主だったと想定されるのではないかということも重要。片山氏も当初から「C#で書かれたプログラムのテストは行ったことがある」と明言し続けてきた)

江川氏もいつもの早い仕事を更に早めて以下のように書いたのは、不意打ち的に出してきたという話も含めて相当憤慨したのだろう。
< 一方の当事者が、他方からの光を当てることができにくいようにして、自らに有利にコトを進めるのは、刑事裁判のあるべき姿から離れていると言わざるをえない。>
当方も全く同感で、もはや「CSRF事件で横浜地検がやったようなことを、東京地検がまたやろうとしている、或いは既にやっている」という状態。
これは恐ろしいと言っても過言ではない事態で、明日は参考に横浜CSRF事件について書く予定。

以上