「発症日別集計は原理的に検査数に影響されない」理由説明
「発症日別集計データ」は検査件数に影響されない理由説明を書いてみました。
更にそれを知人らに説明してみた結果、寄せられた質問と追加説明をまとめました。
1.【検査数と陽性者数の関係性説明】
2.【寄せられた質問】
3.【質問に対する追加説明】
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1.【検査数と陽性者数の関係性説明】
関心が高いかたの中には、「陽性者数は検査数に影響されるのではないか」という疑問を持たれるかも知れません。
それには「発症日別」の集計データが有効になります。
「発症日別集計データ」のグラフでも、8月初め頃にピークが出ています。
(更に推定感染日から発症日まで平均約5日間の潜伏期間が有り、感染日ベースではグラフが約5日前にシフトする形になる)
「発症者数は検査数に影響されない」理由は、原理的に以下のようになります。
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2.【寄せられた質問】
(1)図に或る「感染者数」と「陽性者数」は違うのですか?
(2)検査の結果、陽性判定を受けた者が感染者ではないのですか?
(3)検査数が増え陽性判定者が増えれば感染者数も増えるのでは?
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3.【質問に対する追加説明】
(1)<「感染者数」と「陽性者数」は違うのですか>
→再掲下図で①「感染者」と②「陽性者」は分けて考えており、違う定義にしています。
■両者の関係性・・・「②陽性者の集合は、①感染者の集合の中に含まれる」
この集合関係を別の例として、①を「宅配便」、②を「宅急便」に当てはめると、
■ ①「宅配便」は②「宅急便」を含む。
■しかし①「宅配便」を「宅急便」と呼んでしまう人も相当数いて、それでも大抵の場合通じてしまうので混用され得る。
⇒コロナの「感染者」と「陽性者」も世間一般的に混乱が有るので、次項で説明。
(2)<検査の結果、陽性判定を受けた者が感染者ではないのですか。>
→呼び方としては②「陽性者」は、正確には「陽性判定者」や「検査陽性者」などの言葉が適切かも知れません。
但し、東京都は検査による「陽性判定者」を「陽性者」と呼んでいます。
実際に都のサイトにある集計の題名も、例えば『報告日別による陽性者数の推移』となっています。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
それに対して、マスコミ等は「陽性者だと一般向けには固い言葉になる」とでも考えてるのか、「感染者」とする場合が有ります。
実例:<17日に東京都が確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は161人だった>Yahooニュース
これで混乱が発生します。
(3)<検査数が増え陽性判定者が増えれば感染者数も増えるのでは?>
→まず「検査数が増えると陽性判定者数が増える」という関係は有ります。
関係式は、「陽性判定者数=検査数x陽性率」となり、式に検査数が入るので検査数の影響を受けます。
但し、前述のように上図では、①感染者と②陽性者(=陽性判定者)は分けて考えています。
それで「感染者数」も、上図の概念では「感染者総数=陽性判定者数+未検査の(潜在的)感染者数」を想定します。
そのため「検査数が増えても感染者総数は変わらない」という原理的見方になります。
更に参考説明図として、検査数は上図集合内には入れにくいのですが、無理やり検査数増加の考え方を入れてみたのが下図。
検査数が増加して「②陽性者数」が増えても、「①感染者総数」は変わりません。
その上で、「発症者数」を考えます。
関係式は、「発症者数=感染者総数x発症率」になり、式に検査数は入らず検査数の影響は受けません。
また発症自体の判定は、「発熱」や「だるさ、嗅覚・味覚異常等の自覚症状」などから医師が総合判定することを想定。
そのため検査の影響を受けませんが、症状がある人の中で「コロナによるもの」と判定するためには、「発症者数以上のPCR検査数」は必要になります。
なお、発症自体の判定には「CT検査」などの各種検査も使われますが、「検査数が増えて陽性判定者が増えれば感染者数も増えるのでは?」の疑問の場合の「検査数」は「PCR検査数」です。
以上